QDT2020年11月号
5/9

78連載 Intra Oral Scanner : A beginner’s guide ちなみに、なぜ筆者が1歯の即日修復を基本的に90分で行っているかというと、トラブルが発生した場合にも余裕をもって対応し設定時間内に処置を終了することができる時間であることが理由である。実際に、即日修復を行うと意外とその場で対応しなければならない大小のトラブルが発生し得る。たとえば小さいトラブルの例を挙げると、加工中に加工機の水タンクの洗浄や、加工用バーを交換する必要性に迫られるなどである。この対応で、あっという間に5分、10分は過ぎてしまう。 また筆者が大学院生時代にCEREC2で治療していた際の非常に恥ずかしいエピソードであるが、インレーを製作し口腔内へ接着しようとした時にインレーを落としてしまった。そして、慌ててインレーを探そうとして、足を一歩踏み出した時にインレーを踏んで IOSを含めたチェアサイド型歯科用CAD/CAMシステムを院内で運用し、それを成功させるポイントは、“徹底的に使うこと”に尽きる。では、その“徹底的に使う”とはどこまでをさすのであろうか。 当院を例に挙げてみると、シリカ系セラミックスならびにジルコニアセラミックスのインレー、アンレー、ハーフクラウン、フルクラウン、ラミネートベニアの単冠補綴・修復装置、また同材料を用いた3ユニットまでのブリッジ、さらに小規模の症例に対するサージカルガイドをIOSによるデジタル印象採得の後に院内で歯科用CAD/CAMシステムを用いて製作し患者へ装着もしくは使用している。1歯から3歯程度の臼歯部におけるインレーやクラウンなどは、90分から120分程度の“1day 1visit”の直接法即日修復で行っている。【はじめに】第11回:チェアサイドにおける直接法・院内完結型について(後編)歯科医師・歯学博士八重洲歯科診療所/日本歯科大学生命歯学部接着歯科学講座東京都中央区八重洲2-1 八重洲地下街中1号中村昇司 Shoji NakamuraQDT Vol.45/2020 November page 1464

元のページ  ../index.html#5

このブックを見る