QDT2020年11月号
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79第11回:チェアサイドにおける直接法・院内完結型について(後編)接着10分⑦ステイニング30分⑥しまい破折させてしまったことがある。その瞬間を患者も目撃しており、非常に気まずくなったのは言うまでもない。そこで、筆者は平静を装いながら「大丈夫ですよ、データがありますからもうひとつすぐ作れます。安心してお待ちください」と言ったことを今でも鮮明に覚えている。この時に追加でかかった時間は、10分程度である。 このような経験から、自分が何かしらのトラブルが発生させた際にも余裕をもって治療が完了できる時間が「90分」なのである。 他方、前歯部などの審美領域においてステイニング・グレージングを行う際には、1日で完了する場合もあれば2日に分けて診療を行う場合もある。その判断は、治療対象歯の本数にもよるが色調によるところが大きく、簡単でシンプルなステイニングで終了する症例では120分から180分ほどチェアタイムを確保し、4歯程度までを即日で治療する場合もある。しかし、色調が複雑で複数回のステイニングが必要な場合には、単独歯であっても2日に分ける場合もある。 3ユニットブリッジは、やはり院内で完結可能なため行っているが、即日にするか否かは患者と相談している。時間が取れるようであれば“1day 2visit”(1日2度来院)で対応し、そうでなければ2日に分けて治療を完結している。現実的には、ブリッジに関しては時間の制約上の問題から2日に分けて対応する場合が多い。 前号でも書かせていただいたが、治療に要する時間の問題は非常に重要で、たしかに即日修復は患者に対しても歯科医院に対しても有効であるが、あまりに時間がかかってしまうようであればその有効性は希釈されてしまう。たとえば即日修復により1本3万円のインレーや6万円のクラウンを装着するために、もしチェアサイドの処置時間がトータルで常に3時間を超えてしまうようであれば効率的とは言いがたい。IOSを用いた即日修復は、治療費と治療時間と治療範囲をよく考慮しながら、徹底的に使いこなすことが重要である(図1)。図1 チェアサイドにおける即日修復に要する時間(※MCXL:CERECシステム用の加工機の商品名〔デンツプライシロナ〕)。本図は図3に示す焼成工程のないブロックを使用する場合を示す。チェアサイドにおける即日修復に要する時間支台・窩洞形成光学印象設計ミリング研磨咬合調整・研磨5~10分3~10分10分MCXL※で5~15分10分10~20分①②③④⑤⑧直接法において形成から光学印象、設計そして研磨、セットまでインレー・アンレー(各1本):60~90分クラウン(各1本):60~90分ステイニング時:120分QDT Vol.45/2020 November page 1465

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