QDT2021年1月号
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62私たちのフルデジタル補綴・修復 ~IOSを起点とした歯科医師・歯科技工士のチームワーク~3on1 Ti baseの構造図1 3ond1 Ti base RP用(図中左2本)とWP用(図中右2本)。左側がセンタリング機能を有したガイドピンで、右側の黒いネジがが補綴用の平ネジである。ざまなメーカーにより多様な製品が開発されている。これまでのIOSでは、パウダーレスによる金属のスキャニングが困難であったことなどから、スキャンボディに使用する材料は主にPEEK(Poly Ether Ether Ketone、ポリエーテルエーテルケトン樹脂)が主流であった。 しかし、PEEK単体のスキャンボディにおいては、その材料特性上、締結時のトルクによる歪みや、インプラント体との嵌合部の摩耗による反復使用の難しさ、さらに適合のズレが生じやすいといった欠点があり、現在では嵌合部がチタン製のスキャンボディが推奨されている。IOSの進化にともない、現在ではパウダーレスによる金属のスキャニング精度も格段に進歩していることから、筆者らはすべてのパーツにチタン合金を使用したスキャンボディ「3on1 Ti base」(図1、デンテックインターナショナル〔※技工物〕)の開発に着手した。以下にその特徴を示す。a.スキャンボディとして使用可能 新しく開発された3on1 Ti baseは、ノーベルバイオケア社のマルチユニットアバットメントおよび互換性のあるアバットメント上に装着し、光学印象を行う際にスキャンボディとして使用することができる(図5~8、21~23)。b.Verification Jig用コーピングとしても使用可能 (センタリング機構の付与) 3on1 Ti baseは、Verication Jig用コーピングとしても使用できる。コンベンショナルなシリコーン印象採得においてもIOSを使用した光学印象採得においても、複数歯のインプラント上部構造の製作においてPassive Fitを獲得するためにはVerification JigならびにVerification Castの製作は必須であると考えられる1。そして、そこに使用するVerification Jig用コーピングもきわめて重要であり、3on1 Ti baseは、その精度向上のための工夫が施してある。 ノーベルバイオケア社純正のマルチユニットアバットメント用の印象用コーピングには水平的に遊びがあり、約10~20μmのズレが生じると考えられる。しかし、3on1 Ti baseは独自の特殊機構により一定の位置にセンタリングすることが可能である。ガイドピンとTi baseが接触する座の部分に円錐状のテーパーが付いており、Ti baseに対してガイドピンのセンタリングが確実に行われる。すなわち、既定のトルク値を遵守すれば、術者の手技に関係なく、正確なVerication Jigを獲得することが可能になると言える。 センタリングが可能な印象用コーピングとしては、ノーベルバイオケア社のマルチユニットアバットメントと互換性のあるSPIバリオマルチアバットメント(Thommen Medical,モリタ)用の印象用コーピングが挙げられるが、SPIバリオマルチアバットメント用の印象用コーピングは、3on1 Ti base同様にセンタリングすることは可能であるが、材質がジュラルミンであるため、最終上部構造装着時の締結トルク値とは異なる。一方、3on1 Ti baseにおいては、材質がすべQDT Vol.46/2021 January page 0062

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