QDT2021年4月号
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66Feature article #2 フェイシャルカットバックジルコニアのCADデザインは、モノリシックジルコニアクラウン製作時と同じく最初にフルカントゥアでデザイン後にデジタルカットバックを行うため、最終的な形態のイメージがないまま製作を行うのは危険である。 まず、患者固有のアンテリアガイダンスをジルコニアでいきなり再現するリスクが非常に高い。また、患者の望む形態ではなかった場合や口唇・顔貌との不調和があった場合、多少の歯冠幅や厚み、歯冠長を短くするなどの修正は可能だが、大幅な修正、とくに歯冠長を長くすることは不可となる。なぜなら切縁のジルコニアフレームを越えて長くするということは陶材のみでガイドや咬合をするということであるため、これではフェイシャルカットバックジルコニアの利点が失われ、チッピングのリスクは飛躍的に高くなる。 とくに多数歯補綴の場合、プロビジョナルレストレーションのスタディモデルをコピーするのは必須で(図12)、筆者の場合、さらに患者の形態的要求が高いケースでは口腔内でワックストライを行い、患者の納得の上でそのワックスをスキャンしたものからデジタルカットバックを行って製作している。図12a 初診時正面観。図12b フェイシャルカットバックジルコニアにおいて多数歯を補綴する場合はプロビジョナルレストレーションが必須となる。プロビジョナルレストレーションで審美とアンテリアガイダンスを回復する。フェイシャルカットバックジルコニアのデメリット1.完成後、形態の大幅な修正ができないCase 9フェイシャルカットバックジルコニアにはプロビジョナルレストレーションが必須Data患者概要:患者は30代女性。摂食障害による審美不良とアンテリアガイダンスの回復を主訴に来院され、2+2の補綴治療を行うこととなった。ジルコニア:TANAKAエナメルZRマルチ5浸透性着色リキッド:ビタ YZ HT シェードリキッド陶材:セラビアンZRQDT Vol.46/2021 April page 0480

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