QDT2021年5月号
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43第5回 IOSの参画によるインプラント治療への有益性ケースプレゼンテーション症例の概要主訴:前歯がグラグラするので治療をしたい(図1、2)検査・診断:両側上顎中切歯歯根吸収治療方針:歯周精密検査、エックス線検査(CT・パノラマエックス線)、口腔内所見より、下記の3つの条件(表1、参考文献1より改変)を満たすことから、サージカルガイドを用いてフラップレスによる抜歯即時埋入の計画を立案した。また、埋入時に即時荷重のための4つの条件(表2、参考文献1より改変)を満たしているため、即時に装着できるようにあらかじめプロビジョナルレストレーションを製作した。治療のプロセス 本症例の治療のプロセスを図3に示す。以下、それぞれのフェーズ別に解説していく。a.外科フェーズ1)初診@クリニックサイド 初診時の歯科用コーンビームCT(以下、CBCT)撮影より、抜歯即時埋入が可能であることを確認したため、その場でIOS(ここではTRIOS3、3Shapeを使用)を用いて全顎のスキャンを行った。患者には抜歯即時埋入および良好な初期固定が得られた場合には即時プロビジョナルレストレーションを装着することについて十分に説明を行い同意が得られたため、2回目の来院時に手術の予約を取得した。2)データの共有@クリニック&ラボ by Dropbox® 初診時にCBCTから得られたDICOMデータとIOSから得られたスキャンデータをクラウドデータ管理システム(ここではDropbox®を利用)にてラボサイドと即座1.損傷のない抜歯窩壁があること2.厚い軟組織であること3.急性症状がないこと表1 抜歯即時インプラント埋入の条件。1.初期固定を得るための骨が抜歯窩の根尖側および舌(口蓋)側にあること2.初期固定トルク値が25-40NcmまたはISQ値が70を超えていること3.機能時のプロビジョナルレストレーションを保護する咬合状態があること4.患者のコンプライアンスが高いこと表2 即時荷重の条件。図1 初診時口腔内写真。図2 初診時顔貌(下顔面)写真。21QDT Vol.46/2021 May page 0575

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