QDT2021年5月号
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78 今回からミリングについて解説していきたい。モデルスキャンのケースではミリングに多少の誤差があっても模型上で調整することができるが、IOSを用いたモデルレスの症例においては模型上での調整ができないため、ミリング精度が非常に重要になる。ミリング精度が悪く致命的な誤差が生じれば、最終補綴装置のチェアサイドでの調整量が非常に多くなってしまうからである。本連載ではこれまでにフィッティングやCADソフトについてお伝えしてきたが、それらをしっかり考慮していたとしても、すべてを帳消しにしてしまうぐらいミリングの工程が重要であり、最終補綴装置の口腔内での調整量の鍵を握ると考えている。 ミリングマシンを扱う多くのユーザーの理想は、「導入すれば、だれでも簡単に高い精度で永続的に安定したミリングを行うことができる」というものであろう。しかし、現実的にそれは難しい。そもそも大型工作機械ならまだしも歯科用の卓上ミリングマシンでは理論的にも限界がある。そのなかで可能な限り精度を求め、日常臨床の最適化とデジタルワークフローにおける安定性を得るためには、研究・検証を重ね、ミリングという工程に対する正しい知識を学び、その上で使用していく必要があると考えている。 今回から数回にわたりミリングマシンの基礎的な知識について解説していく。はじめに連載Road to Modellessモデルレス時代に向けてデジタル機器を使いこなすために藤松 剛株式会社 STF/京都府長岡京市開田2-1-5 とみふじビル3F株式会社 STF Tokyo/東京都台東区東上野6-23-5 第二雨宮ビル1F 101第8回 ミリングの基礎知識QDT Vol.46/2021 May page 0610

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