QDT2021年6月号
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75第9回 ミリングマシンの基礎知識①ミリング加工の基礎知識①加工の種類 以降では、ミリング加工の基礎知識として図1の項目について解説していきたい。加工機の基本①加工の種類②加工軸加工機の構造説明③スピンドル④筐体図1 今回①②、次回で③④の項目について解説していく。 歯科用ミリングマシンの加工には大きく分けて湿式と乾式がある。本来、ミリングマシンには加工の精度を安定させるための加工条件管理項目というものがあり(図2)、乾式と比較して湿式のほうがよりこの管理項目の数が多くなる。しかし、歯科用のミリングマシン、および一般的に歯科用ミリングマシンが置かれているラボの環境ではそこまで厳密な管理は難しいため、ユーザーとしては知識として知っておく程度でよいのではないかと考える。 ユーザーとしてより興味があるのは、加工時間や精度、加工可能な材料であると思われる。図3に乾式と湿式の違いを挙げる。乾式は低rpm(1分間の回転速度)で切削、湿式は高rpmで研削となり、高rpmで加工可能なため湿式のほうが加工速度は速くなる。 つぎに、歯科用ミリングマシンで加工可能な材料を軟らかいグループ(未焼結ジルコニア、ワックス等)、中程度の硬さのグループ(PMMA、ハイブリッドレジン、PEEK等)、硬いグループ(ガラスセラミック、金属等)の3つに大まかに分類した。このうち軟らかいグループについては、加工スピードのデメリットがないこと、また未焼結ジルコニアであれば湿式で加工してしまうと加工後に乾燥が必要になってしまうことなどから、乾式が適しているといえる。ミリングマシンによっては中程度の硬さのグループや硬いグループも乾式で加工することは可能である。しかし、加工スピードや加工面の滑らかさ、カッティングツールの摩耗を比較すると湿式のほうが適しているといえる。この傾向は硬いグループのほうがより顕著である(図4)。乾式切削カス粉低rpm切削湿式切削カス粒子高rpm研削乾式+湿式切削カス粉と粒子低高rpm切削研削乾式よりも湿式のほうが加工スピードは速くなる図3 乾式と湿式の違い。・加工機の温度・湿度・震度・工具の管理・切削油の濃度 など図2 加工条件管理項目の一例。乾式と比較して湿式の加工条件管理項目は多いQDT Vol.46/2021 June page 0725

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