QDT2021年8月号
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39第8回 咬合再構成症例におけるIOSの活用ケースプレゼンテーション症例の概要主訴:患者は44歳男性。「右上の詰め物が外れた」ことと、「問題があるなら全体的に治したい」ことを主訴に来院した(図3)。検査・診断:全顎的な精密検査による原因の追求を行った。多数歯に根尖病変がみられ、不良補綴装置にabc図1a~e IOSおよびデジタル技術を駆使した現在の補綴治療の例(本図は正井隆祐氏〔歯科技工士・株式会社Johnny’s Factory〕による)。口腔内スキャンデータをデジタル咬合器にマウントし、中心位と咬頭嵌合位の違いを診断する(a)。また、CTの歯牙のDICOMデータとセファロ、顔貌写真を重ね合わせ中切歯の位置およびインサイザルエッジポジションを決定し、矯正歯科治療の方針とインプラント埋入ポジションを決定する(b、c)。さらに矯正歯科治療後の歯牙移動後に皮質骨内での動きも1歯ずつ確認し治療を行う(d、e)。deabc図2a~e デジタル印象採得は、支台歯の欠損が少ない多数歯症例の場合、従来のシリコーン印象よりも正確な印象が採得できると筆者は考える。本図に示すとおり、上顎臼歯部1歯欠損症例(a)で反対側同名歯にわたるバーを3本、IOSのデータを基に試作したところ、「アナログ印象・石膏模型」に対しては適合しなかったが(b)、口腔内にはそのまま適合した(c)。その後、本症例にはIOSのデータを基に製作した最終補綴装置を装着した(d、e)。今後は、欠損が広範囲にわたる歯列におけるスキャン精度を考える必要があると考える(a〜cは正井隆祐氏、c、dは大塚による)。deQDT Vol.46/2021 August page 0933

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