QDT 2021年9月号
2/9

c図1a~c 歯の欠損を放置すると隣在歯および対合歯の移動、挺出が生じ、その後製作する補綴装置が入らなくなってしまったり、対合歯が挺出してしまって干渉の原因となったりする。23baQDT Vol.46/2021 September page 1035 支台歯形成後に装着される暫間的な補綴装置には、隣在歯や対合歯との保隙や支台歯への歯肉の被覆防止などを目的としたテンポラリークラウン(以下、TEC)と、これらのほかに審美的・機能的側面をも兼ね備えたプロビジョナルレストレーション(以下、PVR)とが TECは保険治療として考えるもので、短期の保隙に使用するものであり、隣在歯や対合歯が位置移動してこないようにするものであると筆者は考える。印象採得後にこうした歯の移動が起きると、その後製作する補綴装置が入らなくなってしまったり、対合歯が挺出してしまって咬合が高くなったりする。このようにプロビジョナルレストレーションの「お宝箱」 Part1:用語の確認と臼歯部プロビジョナルブリッジの製作存在するが、今回はこれらの違いや実際に使用する際の手順などについても記載していきたい。その上で、この前編では臼歯部のプロビジョナルブリッジの製作までを取り上げる。印象採得時とセット時の環境を変えないようにする(図1)ことが、TECの目的である。 一方でPVRは、どちらかというと日本においては自費診療で用いることが多い用語である。また、単なる保隙ではなく、審美的・機能的な配慮・咬合、そして歯肉との調和の安定性をチェックするために使用す欠損を放置することによる歯の移動はじめに1.TECやPVRとはいったいどのようなものか─6種類の用語から考える─

元のページ  ../index.html#2

このブックを見る