QDT 2021年10月号
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第10回 IOSを起点とした現代のインプラント補綴 ─精度向上のためのポイントとその実践例─(前編)*1あらかじめ製作された一次作業模型上のインプラント体の位置の精度を確認する目的で金属製のジグに記録し、それを口腔内の印象用コーピングにフィクスピード(ジーシー)などで固定、その後これを基に再び二次作業模型を製作する方法。これにより、作業模型の精度をより高めることができる。従来、メタルフレームの口腔内での不適合が明らかになった場合は、切断・ろう着することによって対応してきた。しかし、CAD/CAMシステムで使用されるジルコニアやチタンは、基本的に切断・ろう着が不可能なため、本法の必要性が高まっている。スキャンボディの適切な取り扱いについて まず、インプラントの光学印象採得について述べていきたい。インプラントの光学印象採得では、天然歯の場合とは異なり「スキャンボディ」を連結して行うこととなる。このデータを基に、プロビジョナルレストレーションから最終上部構造までを製作していく。これにより、CADソフトウェア上のみの、モデルレスでの設計・製作を行うことが可能になる(図1、プロビジョナルレストレーションおよび最終上部構造製作時はベリフィケーションインデックス*1をかならず使用する)。 インプラントの口腔内光学印象採得で必須となるス図1 インプラントの光学印象採得では、天然歯の場合とは異なり「スキャンボディ」を連結して行う。これにより、モデルレスでの設計・製作が可能となる。図2 各社がそれぞれのインプラントシステムに対応したスキャンボディを用意している。QDT Vol.46/2021 October page 117739によるデジタルワックスアップおよびパラメーターの調整、CAMソフトでのネスティングおよびパラメーターの調整、そして精度の高い加工機を選択・使用することと切削バーの管理によって仕上がりに差が出てくると考える。 上記を踏まえ、本稿ではIOSを用いたインプラントの印象採得を起点とし、その際の注意点や考慮事項などについて、症例を交えながら述べていきたい。キャンボディとしては、各社がそれぞれのインプラントシステムに対応するものを準備している(図2)。かねてから、スキャンボディの嵌合部はPEEK製のものが多かったが、現在ではチタン製のものが推奨されており、筆者らも好んで使用している。PEEK製のものにくらべ、チタンは耐久性にすぐれ変形のおそれも少ないためである。 さらに、スキャンボディをスキャニングする前には、スキャンボディの表面性状をよく観察する必要がある。表面に艶があり光を反射する材質のスキャンボディは、スキャニング時にデータ荒れを起こし、後のインプラントの光学印象採得における留意点:スキャンボディの取り扱いと歯肉縁下形態のトランスファー

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