QDT 2021年10月号
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図1 UTML、STML、ML、HTの強度・透光性と適用範囲。図2 同、シェードラインナップ(図1、2はクラレノリタケデンタル提供)。図3 STML A2のシンタリング後。前歯部ジルコニアセラミックスにおけるモノリシック/フェイシャルカットバック/フルレイヤリングの選択基準QDT Vol.46/2021 October page 118547 臨床においては、対合歯との噛み合わせの関係、天然歯の形態(大きさ)、マージンの位置、歯科医師の熟練度によって支台歯の形成量が異なることがある。さまざまな支台歯の形成量の条件においても自然な色調の補綴装置を製作するためには、自身が使用するジルコニアディスク、築盛用陶材(以下、陶材)、ステイン材などの材料の特性について熟知する必要がある。筆者の場合、臨床においてはクラレノリタケデンタル社のノリタケ カタナ ジルコニア(図1~3)と陶材・ステイン材(セラビアンZR)を使用しているため、本稿では同社の材料を用いて説明していく。しかし、メタルセラミックスとは異なり、ジルコニアは基本的に透光性をもっており、支台歯の色調やコーピングの厚さによって同じ陶材を築盛したり、ステインしたりしてもまったく違う結果を招きかねないため、本稿では材料の特性よりは状況に応じた臨床活用法に焦点を当てて述べていく。 図1、2のジルコニアディスクを簡単に説明すると、HTはグラデーションなしのコーピング用、UTML、STML、MLはグラデーションディスクでモノリシックおよびコーピングのどちらにも使用する。MLは強度が高く透光性は低い。UTMLは透光性は高いが強度は低い。STMLはMLよりは透光性が高くて強度が低く、UTMLよりは強度が高く透光性が低い。筆者が臨床で使用しているノリタケ カタナ ジルコニア使用する材料の特性を熟知することが補綴治療の成功につながる

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