QDT 2021年10月号
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RBFDPs カンチレバー接着ブリッジ成功のためのワンポイントアドバイスはじめにジルコニアカンチレバー接着ブリッジの適用条件を考え直そう!Welche Bedingungen gelten für die RBFDPs?Vorläufige Erläuterung, der Vor- und Nachteile der RBFDPs事前に接着ブリッジの利点と欠点を患者に説明できているか? 今回は第1章の最終節となる。これまでの6回は時間軸を遡る方法で解説してきた。接着時における操作の手順から始まり、ポジショニングスプリントの使い方や注意点、ラバーダム装着が接着に及ぼす影響も説いた。また、オベイトポンティック基底面の形態やリテーナーの支台歯形成の基本構成も明確にしてきた。今までの時間軸は術者側から見た視点の要素を多く含んでいた。 今回は技術面よりも、患者主体の視点から問いを投げかけることに重点を置いた。「ジルコニアカンチレバー接着ブリッジの成功するキーポイント」のまとめとして、どのような流れの中で筆者と歯科医師が患者と接しているか、ドイツの診療方針を例にとり、日々の初診から見積もり、治療の方針を患者に説明していく環境を紹介する。日本と医療体制が異なる背景を考慮しながら比較し、再考していくことで、新たな気づきが芽生えることを希望する。1-5-1 接着ブリッジの適用条件は、日本補綴歯科学会による「接着ブリッジのガイドライン」1にて定義を示しており、また、同学会の診療ガイドライン委員会が編集した「接着ブリッジのガイドライン」2017年版2ではクリニカルクエスチョン(CQ)と推奨に対し改訂を行っていることをご存じであろうか。本稿ではこのガイドラインの内容を解説するのではなく、いくつかのポイントを提示する。しかし、ぜひともウェブサイトからダウンロードし、一読していただきたい。 歯科医師が患者に対し、RBFDPsへの適用条件と判断するのは以下のとおり。①支台歯はカリエスフリーの健全な歯であり、エナメル質が十分存在しなければならない。②支台歯の歯周組織が良好でなければならない。③外傷や先天性要因による歯牙の欠損の場合。④プラークコントロールが良好な(う蝕罹患傾向が低⑤支台歯に強い咬合力がかからない条件の場合。⑥インプラントの適用が困難な場合3。 主観的な視点から、大きく若年層のグループとインプラント治療グループに分類し解説していく。 まずは若年者への適用として、外傷における欠損の場合と先天性要因における審美的な修復がメインとなる。また、RBFDPs治療を行うために矯正治療の可能性も考慮すべきである。矯正歯科とのコミュニケーションを取り、最終目標を明確に伝えなければならない。また、歯肉形成の治療に対しても歯周組織の検査を行った上で判断しなければならない。 次に、インプラント治療グループでは、患者がインプラントを希望している場合としていない場合でも選択が分かれる。インプラント治療を希望している患者でも、インプラントを埋入する骨組織が健全でないケースでは患者の希望に応えられない場合もある。歯周組織の大きな欠損があっても、上記で示した支台歯のエナメル質の健全さや対合関係の条件がそろえば、RBFDPsでの治療が可能となる。この場合、歯磨きやプラークコントロールの指導にも十分時間をかけるべきである(図1-1〜1-9)。 インプラント治療を経済的な要因や本人の希望によって除外する場合、通常はブリッジか可撤性補綴装置の選択となる。しかし、RBFDPsへの適用条件がそろっていれば、歯科医師は第3の選択肢として患者に提案することができる。この選択肢の多さこそが、患者主体に治療方針を説明していけることにつながると考える。1-5-2 ここでの問いは、歯科医師が患者や、未成年の患者の場合はその家族に「接着ブリッジの利点と欠点を十い)場合。QDT Vol.46/2021 October page 121678

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