QDT 2022年1月号
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QDT Vol.47/2022 January page 006161適応を検討すべき条件1)ブラキシズム2)アンテリアガイダンスの不調和3)不安定な咬頭嵌合位4)下顎が限界運動を越えて接触するような場合5)著しい叢生6)重度の歯周疾患etc.図1 適応が困難となるような状況においては、修復範囲の拡大や包括的な治療計画を検討する必要がある(参考文献1より引用改変)。 今日のラミネートベニア修復の発展は、高強度セラミックスと確立された接着システムの登場によって大きく支えられている。また、補綴治療にもMI(Minimal Intervention)コンセプトが取り入れられたことで、より少ない修復スペースでも高い強度を発揮する材料が求められ、それらの存在なしには当コンセプトを実現することはできないであろう。そして、これらはラミネートベニアの製作方法にも変化をもたらした。おもに間接的なポーセレンラミネートベニアの製作方法は箔圧接法と耐火模型法に始まったが、製作における技術的な難易度や陶材の強度的な問題からリチウムダイ まず、ラミネートベニア修復における適応条件を整理したい。ラミネートベニア修復の主たる目的は、歯質の削除量を抑えつつ審美性を改善することにある。そして歯質保全と接着の観点から、支台歯形成は可及的にエナメル質を残したデザインとする必要がある。近年、患者の審美的要求の高まりと接着システムの確シリケート(二ケイ酸リチウム)を主体とした高強度セラミックスを活用した方法(プレスセラミックスやCAD/CAM用ブロック)が頻用されるようになってきている。さらには近年のジルコニア修復の需要により、賛否両論はあるもののジルコニアを用いたラミネートベニア修復もしばしば見受けられるようになってきた。しかし、これらの技法にはそれぞれ優位点や欠点も存在しており、接着環境や咬合関係、そして修復装置の厚みや形成デザインなどによっても適応条件が異なる。立により、適応症や修復デザインも広がりを見せている(図1)。しかしながら、低侵襲を心掛けたとしても不可逆的な修復であることに変わりはないため、術前の条件をしっかりと見極めながら診断の確実性を上げ、治療効果の拡大につなげていかなければならない。ラミネートベニア修復の適応症適応症1)内因性着色歯2)変色歯3)う蝕歯4)歯冠の部分破折5)歯質の著しい摩耗6)酸蝕症による歯質の損傷7)咬合状態の改善とアンテリアガイダンスの確立8)形態異常歯(エナメル質形成不全や矮小歯)9)歯間離開10)軽度の捻転歯etc.ラミネートベニア修復へのプレスセラミックスの活用と適応基準 前編ラミネートベニア修復の変遷ラミネートベニア修復の適応症

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