QDT 2022年3月号
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-gain, reduction, movement-QDT Vol.47/2022 March page 0306*1歯科医師:大阪大学大学院歯学研究科 顎口腔機能再建学講座 クラウンブリッジ補綴学分野大阪府吹田市山田丘1-8Feature article #1しての歯周外科治療ならびに矯正歯科治療の必要性についてかならず歯科技工士とディスカッションするようにしている。軟組織に関してどのような問題があり、問題解決のためにどのような処置が必要であるのか、あるいは補綴歯科治療だけでどこまでリカバリーできるかなど、知識および経験を歯科医師と歯科技工士が共有することが治療を成功に導くと筆者は信じている。本稿のメインテーマは、前歯部軟組織における審美的な不調和ならびに機能面・清掃性を改善するための代表的な3つの処置、“gain(足す処置)”、“reduction(減らす処置)”、“movement(動かす処置)”について解説することである。チェアサイドにおける治療をメインで紹介しているが、補綴設計に大きく関わる分野であるため、歯科技工士の皆様にもぜひとも知っていただきたい内容である。軟組織の問題による18前編:補綴前処置としての根面被覆術および歯槽堤増大術髙岡亮太Ryota Takaoka 近年、歯科補綴学の分野において、補綴装置と周囲軟組織の調和がますます重要視されつつある。清掃性に対する影響は言うまでもなく、前歯部においては魅力的なスマイルの獲得のために軟組織に対するよりいっそうの配慮が求められるようになってきた。それには、われわれ医療従事者の軟組織の審美性に対する認識が変化しただけではなく、患者の口元の審美性に対する要求が高まってきていることが背景としてある。その中でも、gingival level(歯頚線の高さ)、歯間乳頭の存在、欠損部顎堤のボリュームなどは前歯部の審美性に大きな影響を与えるため、治療開始前の補綴設計の段階で十分に考慮すべきポイントである。 補綴前診断の段階において、診断用ワックスアップを歯科技工士に依頼することがある(図1)。その場合は、完成したワックスアップを見ながら補綴前処置とはじめに:Gingival managementの大切さGingival esthetics

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