QDT 2022年3月号
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QDT Vol.47/2022 March page 0330補綴設計『今ならこうする』42スマートフォンアプリ「QuintMobile」対応!貞光謙一郎Kenichiro Sadamitsu歯科医師・貞光歯科医院 奈良県奈良市学園朝日町2-3 貞光ビル1Fリレー連載第3回 咬合再構成治療の変革:デジタル機器を用いた客観的基準の構築─変わりゆく材料・コンセプト・ニーズの中で、各時点での「最善」を考える─ われわれ臨床家にとって、実際の治療に入る前の検査は重要であり、確実な資料採得は的確な診断には欠かせないものであると考えられる。また、診断においては原因の究明を行い、一口腔を一単位として診断をしていかなければならないことは周知の事実である。 これをふまえて筆者は、安定した顆頭の位置、適切な咬合高径と水平・垂直的顎位、瞳孔ラインを参考とした咬合平面、犬歯を中心とした前歯部誘導路の確保、などの治療咬合の要件を参考に包括的に口腔内の診断を行っていくこと、またセントリックバイトを患者のリラックスしたポジションで採得し(CR)、咬頭嵌合位(ICP)の状態と比較検討を行うよう努めてきた。 筆者は、この一連の流れを先人の先生方から指導を受け学び、臨床で応用してきた。1997年に開院し、開院歴が長くなると包括的な治療症例が多くなるとともに、20年経過症例をはじめ、長期経過症例も認められるようになってきた。こうした中、多くの症例では良好な予後経過が認められるものの、当院のメインテナンスやリコール、いや、術前の検査・診断から問題があったのであろうか、すべてが良好な予後経過であるとも言い難い。 そこで、デジタル化が進む歯科の中で、デジタル機器をうまく活用して客観的基準を得た上で検査・診断やリコール業務のなかで生かし、より精度の高い包括的歯科治療を行うことができないかと考えるようになった。そこで本稿では、その実践前後の一例を示してみたい。はじめに補綴設計『今ならこうする』

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