ザ・クインテッセンス6月
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59超高齢社会,義歯を通して見えてくる全顎補綴の基礎総義歯臨床が教えてくれたこと クインテッセンス出版から「総義歯の真髄」という書籍が発刊されたのが2001年のことである.当時研修医から大学院へ進んでいた筆者は,自身が総義歯関連の研究に携わっていたこともあり,それに関する書籍を読み漁っていたが,そのインパクトのあるタイトルと充実した内容を10年経ったいまでも鮮明に記憶している. われわれ歯科医師は,技術者としての研鑽を欠かすことなく,日常臨床の場で患者に恩恵がもたらされるよう日々努力を続けていくことに加え,つねに世界から発信される新しい情報に関心をもち,科学者として文献を紐解くことを忘れてはならない.しかし,こと総義歯臨床においては,いまなお科学だけでは説明できない,いわゆる「匠の技」が色濃く残る一分野というイメージが深く根付いているように感じる.当然筆者のような若輩では,「総義歯の真髄」を正しく理解するまでには至っておらず,まだまだ研鑽を重ねていく必要を日々感じている. 21世紀に突入し,欠損補綴治療分野におけるpressed issueは,有床義歯よりもむしろインプラン奥野歯科医院連絡先:〒530‐0003 大阪府北区堂島1‐2‐5 堂北ダイビル1FThe Foundation of Oral Reconstruction through the Denture Work in “Super Aging Society”Learning from Practice of Complete DentureIkuhisa Okuno奥野幾久はじめに──総義歯臨床により患者・術者が受ける福音とは?キーワード:総義歯,咬合の安定,人工歯排列特 別 企 画the Quintessence. Vol.31 No.6/2012̶1229

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