ザ・クインテッセンス6月
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マイクロ導入までに若手Drが習得すべき6ステップ─ここまでやろう! 歯内療法マイクロ導入までに若手Drが習得すべき6ステップここまでやろう! 歯内療法144FUNDAMENTAL COMPREHENSION1.根管形成の前に いざ歯内療法を行う際,どこに意識が向くであろうか.若い先生ほど,患者さんの主訴やエックス線透過像の大きさに意識が向かいがちで,実際の処置も「根尖へ,根尖へ」となるように思われる.早く痛みを取り除いてあげたい,治療を先に進めていきたいと思うあまり,手用ファイルで根尖部にすぐアプローチしてしまうのだが,実はこれが大きな落とし穴になりかねない.レッジ,トランスポーテーション,ジッピングや,アピカルパーフォレーション,削片により根尖部のブロックなどを引き起こすリスクが高くなるのである(図1). これらのリスクを回避するためには,ステップ1(2月号),ステップ2(4月号)の,術前の総合的な診査や適切なアクセスキャビティはもちろん,エックス線診査から患歯の解剖学的形態や根管系の複雑さをつねに意識して,「歯冠側から」の意識をもって処置を心がけることが重要である.なぜなら,歯内療法で扱う感染は通常歯冠部のう蝕に由来し,歯冠側から侵入しているからである.この「歯冠側から」キーワード:コロナルフレア形成,ネゴシエーション田中利典/澤田則宏*/吉川剛正*1川勝歯科医院/*東京都開業 澤田デンタルオフィス/*1けやき歯科桜台診療所連絡先:〒167‐0051 東京都杉並区荻窪5‐18‐17Coronal Flaring and NegotiationToshinori Tanaka, Norihiro Sawada, Gosei Yoshikawaコロナルフレア形成からネゴシエーションへステップ3(全6回・隔月連載)のアプローチを軸に,今回のステップ3を読み進めてもらいたい.2.コロナルフレア形成はなぜ必要か コロナルフレア形成(歯冠側1/3のフレア形成)とは,根管口付近を漏斗状に広げる操作のことであり,根尖側1/3へ適切にアクセスするために必要不可欠である.なぜなら,根管形成でもっとも重要な根尖部へファイルをアクセスさせる際,歯冠側でファイルが拘束され微細なファイル操作が妨げられては適切な根管形成ができないからである(根尖部の根管形成については次回解説予定). とくに注意が必要な部位として,上顎大臼歯近心頬側根,下顎大臼歯近心根が挙げられる1.また,下顎前歯は臨床的に2根管性(根尖で合流しているものも含む)も数多く(41.4%)報告されている2ので,必要な場合アクセスキャビティも含めて修正する.なお,アクセスキャビティからコロナルフレア形成までのスムーズな根管内壁の形態を,ストレートラインアクセスという.the Quintessence. Vol.31 No.6/2012̶1314

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