ザ・クインテッセンス7月
7/8

日々の臨床に直結する 接着を成功させるために!日々の臨床に直結する接着を成功させるために!158FUNDAMENTAL COMPREHENSION連載にあたって:「審美修復=接着修復」 昨今の審美修復治療の浸透にともない,われわれ歯科医師のなかでも,接着修復の知識や技術を積極的に臨床に取り入れようとする風潮が高まっている.当初,接着修復といえば,ラミネートベニアに代表されるような審美性の獲得を目的としたものであった.しかし現在では,MIコンセプトを活かせるもっとも有効な手段として臼歯部にも応用されている.その背景には,審美的かつ機械的にも優れた材料の開発と,長期に安定した歯質接着システム,とくにデンティンボンディングの進展があることは想像に難くない.今や「審美修復=接着修復」となり,世界的にもこれまでのrestorationのなかでもbonded restorationという新たな言葉が誕生し,あらゆる角度からこの治療の予知性や適応などが研究・報告され,信頼性が高まっている.つまり接着歯学の臨床応用により,必要最小限の歯質削除で最大限の審美性を獲得できる修復法が広く認知されたということであろう. そのオプションとしては,コンポジットレジン(CR)修復やハイブリッドレジン,セラミックスによるインレー,アンレー,ラミネートベニア,クラウンなどさまざまである.また,修復物の破折によるリペアや窩洞のライニングやベースにも接着の技術が活かされる.このように,日常臨床を振り返ってみると,「接着」を応用しない日はないことに気づく. その一方で,歯質との境界に認める褐線,修復物の破折や脱離,知覚過敏や歯髄症状の発現などのトラブルも同様に目にする(図A,B).この原因は,「接着」を十分に理解しないまま臨床術式に応用していることにあると思う.レジンセメントやボンディング材は,塗るだけでくっつく“魔法の薬”ではない.実験的データが示す接着力を信じ過ぎるあまり,そのコンセプトを理解することを忘れてしまっている場合も多いのではないだろうか. そこで本連載(7月号・9月号・11月号掲載)では,一臨床家の立場から接着のコンセプトを顧み,審美修復治療に接着を活かし,成功させるためのポイントを解説したいと思う.第1回の今回は,“失敗しない接着”に必要な知識と,基本ステップをみてみよう.キーワード:接着歯学,審美修復治療,コンポジットレジン天川由美子東京都開業 天川デンタルオフィス外苑前連絡先:〒107‐0061 東京都港区北青山2‐7‐18 第一真砂ビル4FThe Key to Clinical Success of Dental AdhesionPart1. The Basic Knowledge and Technique for Minimizing Ad-hesive FailuresYumiko Amakawa第1回 “失敗しない接着”に必要な知識とステップ(全3回・隔月連載)the Quintessence. Vol.31 No.7/2012̶1562

元のページ 

10秒後に元のページに移動します

※このページを正しく表示するにはFlashPlayer9以上が必要です