ザ・クインテッセンス12月
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78超高齢社会のいま,総義歯臨床を再考する─第1報─78 総義歯臨床の多くは経験や感覚に頼らざるを得ず,良好な臨床結果が得られない場合には対応の手立てがなく,なんとか場当たり的な対処(義歯調整・咬合調整)でやり過ごすのが時流となっていよう.とくに下顎義歯の吸着については,これまでの全部床義歯の製作方法では解決の糸口がまったく見いだせず,多くの術者はテクニックセンシティブであるとして翻弄してきた.それゆえに,アンカーインプラントによる総義歯臨床には大いに魅力に感じるところであろう.下顎義歯の吸着を獲得するのは,いかなる無歯顎者においてもそれほど難題ではない.義歯が吸着しない誘因を見出し,その対応策(アンカーインプラントではない)を的確に施せば,必ず吸着を獲得することができる.義歯が吸着する機序を科学的に解明すれば,自然に印象採得法以外の合理的な対処法を認識することができるはずである. 対照的に,これまで不問としてきた「全部床義歯は咀嚼するための人工器官」「総義歯臨床は無歯顎者に対するオーラルリハビリテーション」について,その機能回復をさせる機序を科学的に解明するには,総義歯臨床の“ヤマ”となる「咬合採得」,「人工歯排列・ろう義歯試適」および「義歯指導」を確実に理解しなければならない. そこで,第1報(本誌2010年11月号)では「咬合採得」を,第2報前編(本誌2012年11月号)では「人工歯排列」を解説した.今回は,第2報後編として「ろう義歯試適」,「義歯指導」について解説する.補綴臨床総合研究所連絡先:〒461‐0025 愛知県名古屋市東区徳川1‐8‐41‐602Email:stepup@shuurenkai.com中村健太郎Answer the Top Three Questions about Complete Denture from 150 DentistsKentaroh Nakamuraキーワード:発音検査,構音検査,咀嚼機能検査,咀嚼能力検査はじめに:総義歯臨床を解明するにはthe Quintessence. Vol.31 No.12/2012̶2668150名のアンケート調査に基づいた「総義歯臨床への疑問」トップ3に答える後編:ろう義歯試適,義歯指導について超高齢社会のいま,総義歯臨床を再考する ─第2報─

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