ザ・クインテッセンス12月
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92安藤雄一/大内章嗣*/深井穫博*1国立保健医療科学院生涯健康研究部*新潟大学大学院医歯学総合研究科福祉学分野*1埼玉県開業 深井保健科学研究所連絡先:〒351‐0197 埼玉県和光市南2‐3‐6超高齢社会で知っておいてほしい話題を紹介.Future Prospects of Demand and Supply of Dentistry by Latest DataYuichi Ando, Akitsugu Ohuchi, Kakuhiro Fukai最新データで読み解く!歯科医療の需要・供給の将来予測キーワード:歯科医療需要予測,稼働歯科医師需要数,厚生労働科学研究はじめに 筆者らは2009・2010年度の厚生労働科学研究「歯科疾患の需要予測および患者等の需要に基づく適正な歯科医師数に関する研究」(以下,「安藤研究班」という)1,2において,歯科診療所の患者数でみた需要の将来予測3を行い,結果の概要を本誌4月号で紹介した4.本研究は別の研究班の一部として2011年度も継続され,直近の医師・歯科医師・薬剤師調査等のデータを踏まえた稼働歯科医師供給数の予測を行うとともに,前述の歯科診療所患者数の予測結果を基本とした稼働歯科医師数の需給予測も行った5. 本稿では,この内容の要点を紹介する.詳細については,厚生労働科学研究の報告書1,2,5を参照されたい.歯科医療需要予測・・ニーズの概念整理 需要に関する分析を行う際,予めニーズと需要の概念整理を行うことが重要であるが6,本分析では歯科医療のニーズとしてBradshawの分類7を用いた.この分類は医療の分野に限らず社会の多方面で用いられている概念で,以下の3種類がある(図1).①支援を行う側にある専門家・専門職が定めたニーズ(Normative Needs)②支援を受ける側が自覚しているニーズ(Felt Needs)③支援を受ける側のサービス利用等の行動として表現されたニーズ(Expressed Needs) 歯科に関する国の統計調査の例を挙げると,①でHealth and well being(健康な状態)Felt needs (本人の意思・自覚症状・困りごと)Normative needs (歯科医師等専門家による判断・診断)歯科需要(dental care demand)Expressed needs(歯科処置内容)(歯科受療行動・受診行動)図1 歯科医療需要とニーズの関係6.歯科医療需要とニーズの関係the Quintessence. Vol.31 No.12/2012̶2682

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