ザ・クインテッセンス3月
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あなたの医院には,十分な酸素が入った酸素ボンベは常備されているだろうか? 酸素マスクやバッグバルブマスクなどの酸素投与に必要な器具は揃っているだろうか? 一応,道具だけは備えているけれど,「歯科医院で酸素投与なんて……」などと思ってはいないだろうか? ショックなどの全身的偶発症が起きた際,酸素を投与することは医療の基本である.重要な臓器の酸素不足によって身体の機能は著しく損なわれる.患者の症状に応じて,適切な器具を用い,適切な量の酸素を投与しなければならない.3命をつなぐ酸素投与怡土信一/横山武志九州大学大学院歯学研究院口腔顎顔面病態学講座歯科麻酔学分野連絡先:〒812‐8582 福岡県福岡市東区馬出3‐1‐1社会から問われる医療安全FEATURE巻頭特集 人間の身体でもっとも重要な脳は,全身の20〜25%もの酸素を消費している.脳には予備の酸素を蓄える機能はないため,一時も酸素供給を欠かすことができない.酸素の供給が絶たれると,2分ほどでチアノーゼが現れ,重篤な低酸素状態に陥る.やがて意識が消失し,脳に不可逆的なダメージを与える.ひとたび障害を受けた脳には重篤な障害が残り,最悪の場合は死に至る. 救急車の要請から現場到着には,平均で8.3分を要する(平成24年).この間に行われる酸素投与は,まさに患者の命をつなぐものになる.119番呼吸停止6分5分4分3分2分1分7分8分●×歯科2分重篤な低酸素状態2分~3分けいれん意識消失3分~4分血圧低下4分~5分呼吸中枢の麻痺平均8.3分救急隊到着まで患者の命をつなぐ歯科医院で酸素投与なんて……と思っていますか?呼吸が…!どうしようっ!救急車はまだ!?the Quintessence. Vol.33 No.3/2014—054743

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