ザ・クインテッセンス3月
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口腔と全身の関連の多くは歯原性菌血症で説明可能 菌血症とは,傷口から細菌が血中に入り込み,全身の血管を巡るものをいう(図1).たとえば,歯科治療,産科,泌尿器科や耳鼻科治療をすると,菌血症が生じる.歯科に関連したものを歯原性菌血症と呼ぶが,たとえばう蝕や歯周病も,それを放置していると歯を磨くだけで歯原性菌血症が起きる.しかし,その事実を知っている歯科医療従事者は意外と少ない. 菌血症の累積頻度を考慮すると,菌血症の原因は,一時的な歯科治療などの医原病(iatrogenic disease)ではなく,歯磨きなどの生活習慣の不良による生活習慣病である.そして,長期にわたる歯原性菌血症やエンドトキシン血症(後述)は全身の血管の健康を障害するので,すべての臓器に悪影響図1 日常的な歯原性菌血症(everyday bacteremia)は,口腔保健への無関心が原因で放置された口腔内の傷口から日常的に血管内へ細菌が侵入することにより生じる.が及ぶ.つまり,口腔と全身の関連性の多くは,歯原性菌血症により明確に説明することができる. 本特集では,いま医科を中心に話題となっている歯原性菌血症について読者に正しく理解していただくために,信頼性の高いデータに基づき,そのメカニズムと対応を解説したい.アルツハイマーに口から細菌が侵入心臓や肺の病気に腎臓の病気に低体重児出産に関節の病気に血管を通って全身に歯原性菌血症は全身の血管の健康を障害し,すべての臓器に悪影響を及ぼす87the Quintessence. Vol.33 No.3/2014—0591

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