ザ・クインテッセンス5月
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5 まだモニターなしで治療しますか?今泉うの/吉田和市神奈川歯科大学麻酔科学講座連絡先:〒238‐8580 神奈川県横須賀市稲岡町82社会から問われる医療安全FEATURE巻頭特集 歯科治療における全身的偶発症の約8割がユニット上で起きている.なかでも局所麻酔中とその直後では過半数を占めている.局所麻酔は身体的にも精神的にも相当なストレスを与える診療行為であるといえる.診療時にモニタリングを行うことで患者の全身状態が持続的に把握できれば,偶発症を未然に防ぐ可能性が高まる.治療中は口腔内にばかり視線が向けられがちだが,生体モニターを使用することでアラーム音や動脈血酸素飽和度の下降にともなう音が警告してくれるため異常事態に気づきやすくなる.全身的偶発症から患者を守るためにモニタリングは必須なのである. 歯科医院には小児から高齢者まで,さまざまな年代の患者が来院する.超高齢社会といわれる現在,患者における高齢者や全身的疾患を有する患者の割合は高まっている.歯科治療は健康な患者にとっても多かれ少なかれストレスを与える行為である.そのストレスによる血圧や脈拍などの変化を把握できる唯一の手段がモニタリングであるといえる.モニタリングを行わずに治療するのは患者の全身状態に目をつぶって治療することと同じだが,あなたの歯科医院ではモニターを使用しているだろうか?局所麻酔中・直後治療中治療後帰宅後治療前55%24%13%5%3%歯科治療における全身的偶発症の約8割がチェア上で起きている歯科治療における全身的偶発症の約8割がチェア上で起きている治療のストレス狭心症高血圧全身的偶発症から患者を守る!いまやモニターなしの治療はありえない!45the Quintessence. Vol.33 No.5/2014—1009

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