ザ・クインテッセンス5月
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不安, 疑い, 恐怖安心, 期待, 希望preparationThe “Preparation” for Orthodontic Treatment : The Purposes and Methods日本歯科大学附属病院矯正歯科連絡先:〒102‐0071 東京都千代田区富士見2‐3‐16小森 成Akira Komoriはじめに Preparationは,「あらかじめ備える,あるいは準備する」ことを意味し,特別な用語ではない.しかし,医療でこの言葉が用いられるとその分野特有のフィロソフィを帯びてくる.Preparationを意識して活用しているのは,発育段階の子どもたちへの医療であろう.子どもだけでなく大人にとっても注射や穿刺は辛い処置であり,MRI検査でも閉鎖されて騒音の大きな環境で姿勢を維持するのは気楽なことではない.検査や処置に対する否定的な反応をできる限り緩和し,がんばって乗り越えられるように行うさまざまなサポートがpreparationである.Preparationは治療に対する協力度を高めることにとどまらず,治療に対する肯定感,病気を治そうとする意欲,生きる力を高めることに役立つとされている. 小児に対するう蝕治療を例にpreparationを考える.協力的な患児であれば,検査して即日に処置することもできる.しかし,歯科治療に恐怖心をもつ非協力児であ矯正歯科治療における小児歯科治療におけるpreparation例図1 健康に対する欲求は誰にでも存在するが,治療に対する不安や恐怖が勝って治療に踏み込めないことは少なくない.この治療に対する恐怖や疑念を和らげることで,より安心して治療に望むことが見込まれる.検査や処置に対する否定的な反応をできる限り緩和し,がんばって乗り越えられるように行うさまざまなサポートが“preparation”である.キーワード:矯正歯科,preparation,KommonBase複雑な治療をシンプルに!98the Quintessence. Vol.33 No.5/2014—1062特 集 3FEATURE

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