ザ・クインテッセンス10月
1/8

スタンダードプリコーション 感染対策は万全ですか?水野智仁/中岡美由紀*/仁井谷善恵*1/栗原英見広島大学大学院医歯薬保健学研究院応用生命科学部門歯周病態学研究室,*広島大学病院診療支援部歯科衛生部門,*1広島大学大学院医歯薬保健学研究院統合健康科学部門口腔保健管理学研究室連絡先:〒734‐8553 広島県広島市南区霞1‐2‐3社会から問われる医療安全FEATURE巻頭特集 スタンダードプリコーションという言葉を知っている歯科医師は15.9%,診療中防護用メガネを着用しているものは33.6%,グローブを着用しているものは72.0%であるとの調査結果がある1,2,3. 歯科治療は血液,血液を含んだ唾液などに触れる機会が多く,血液媒介ウイルスなどの感染リスクが高い.一方,短時間の外来治療が主なため,院内交差感染の把握は困難である.スタンダードプリコーションを始めとする適切な感染予防対策で歯科スタッフ,患者を感染から守ることは,歯科医療提供者の社会的責務(Dentistry Social Responsibility)である. スタンダードプリコーションは,CDC(米国疾病管理予防センター)が1996年に発行した予防策ガイドラインにおいて,感染経路の遮断による院内感染対策として提唱された.感染症の有無にかかわらず,すべての患者に対して適用されることが要であり,遵守することで院内感染のリスクを低減できると考えられている. 感染症の有無,病原体のキャリアーであるかはさまざまな検査によって確定するが,すべての患者がすべての感染症に対する検査を受けるわけではなく,検査実施時と治療時とのタイムラグなどがある.したがって,治療する時点において,その患者が感染しているのか,病原体を有しているのかは不明である.そこですべての患者にスタンダードプリコーションを適用する意義がある.感染症はないって言ってたし,これぐらいで大丈夫かなすべての患者に適用をスタンダードプリコーションを実践できていますか?スタンダードプリコーション診療中防護用メガネを着用33.6%グローブを着用72.0%スタンダードプリコーションという言葉を知っている15.9%the Quintessence. Vol.33 No.10/2014—213359

元のページ 

10秒後に元のページに移動します

※このページを正しく表示するにはFlashPlayer9以上が必要です