ザ・クインテッセンス11月
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正確な知識慎重な使用社会から問われる医療安全FEATURE巻頭特集 全身的偶発症のもっとも発生しやすい状況はいつであろうか.全国の歯科医師会に行った最新のアンケート調査によれば,局所麻酔施行時に発生することがもっとも多く,以前の報告と合わせて考えると全身的偶発症のおよそ半数は局所麻酔と関連していることがわかる.また次に多い歯科治療中においては,抜歯,抜髄,形成など痛みをともないやすい処置の際に多くの偶発症が起こっている.これらのことから,不安や緊張をベースに,注射の痛みや治療の痛み,さらに血管収縮薬の添加されている局所麻酔薬の全身的作用により偶発症が引き起こされていると推測される.局所麻酔施行時がもっとも危ない! 日々の診療になくてはならない局所麻酔.一方で全身的偶発症発生の一番のトリガーとなることも事実である.偶発症はどんな患者にも起こりうるが,インプラントをはじめとした侵襲の大きな処置の増加,患者の高齢化および重度の基礎疾患を有する患者の増加にともない,今後さらに重症化する傾向にあると思われる.患者に安全・安心な歯科治療を提供するためには,局所麻酔に対する正確な知識と慎重な使用が要求される.知らなかったではすまされない時代にすでに突入しているのである.診療に不可欠な局所麻酔,正確な知識と慎重な使用を!全身的偶発症は局所麻酔に関連して発生することが多い局所麻酔施行時40.2%(文献2を参照して作成)歯科治療中22.7%歯科治療終了後12.4%歯科治療終了後12.4%治療終了後9.2%治療前8.4%帰宅途中・帰宅後6.4%不明 0.8% 局所じゃすまない!? 局所麻酔の話城戸幹太東北大学病院歯科麻酔疼痛管理科連絡先:〒980‐0872 宮城県仙台市青葉区星陵町4‐1the Quintessence. Vol.33 No.11/2014—234739

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