ザ・クインテッセンス12月
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医療で用いられるエビデンスは,野球でたとえるなら打率の比較のようなものである.治療法Aと治療法Bではどちらの成功率が高いのか? 現在知られている治療法がその2つのみで,誰が行っても治療法Bのほうが治療法Aより有意に成功率が高いのならば,治療法Bを行ったほうがよいということになる.また,この“打率の比較”は,研究方法によって信頼性が大きく変わってくる.そのため,研究方法の種類を知り,現在存在するもっとも信頼性の高い情報を探し求めることが大切である.現在のインターネットはこの情報収集,仕分けを瞬時に可能にしている.この辺の詳しい探し方については,過去の記事を参照されたい1.近年,この研究方法や解析方法はさらに発展を遂げ,今や高レベルの臨床エビデンスが治療だけでなく,検査,診断,予後,メインテナンスにも存在し,相互に関係し合っている. さらに最近では,AとBを比較するための高臨床エビデンスレベルの研究モデルを構築して結果を求めるだけでなく,電子カルテやDNA,細胞代謝などの大量情報をコンピュータによって全量解析し,そのなかから新たな最高レベルの臨床エビデンスをデータベースから抽出する手法が登場している(トランスレーショナルバイオインフォマティクス,ビッ日吉歯科診療所におけるEvidence BasedDentistryの実践Part3FEATURE特 集 1熊谷直大/幡野紘樹/井上陽裕日吉歯科診療所連絡先:〒998‐0037 山形県酒田市日吉2‐1‐16Utilization of EBD in Daily Practice at Hiyoshi Oral Health ClinicsNaota Kumagai, Hiroki Hatano, Yousuke Inoueキーワード:EBD,う蝕,リスクアセスメント,う蝕象牙質除去,臼歯部隣接面修復口腔の健康を生涯守る歯科医師がもつべき一手SECTION1:熊谷直大われわれがもつべき一手─EBDの今とこれから50the Quintessence. Vol.33 No.12/2014—2564

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