ザ・クインテッセンス12月
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学校歯科保健に取り組んできた現場の様子:まずは健康教育から 小学校5年生の教室.今日は小学校で歯磨き教室を実施する.新しいエプロンをかけて子どもたちの前に立つ. 最初の質問,「今日,学校に来る前に歯を磨いてきた人,手を挙げて!」,ほとんどの子どもの手が挙がる.「それじゃ,2つ目の質問.なぜ歯を磨いてきたのかな?」,みんなが口々に「むし歯にならないようにするため」「むし歯,むし歯!」という言葉があちこちから聞かれる.みんながむし歯予防のために歯磨きをすると納得したところでまた質問,「みんな偉いね! 歯を磨く時,むし歯にならないように,ならないようにって考えて磨いているんだ! また,質問するよ! 生まれてから今までにむし歯になったことがない人,手を挙げて」,ちらほら,手は挙がるが,ほとんどの子どもは乳歯がむし歯になったとか健診でむし歯と言われたなど,またまた騒がしくなる. ここからが健康教育の本番である.私は声を張り上げて言う,「むし歯になったことがあるんだったら,もう歯磨きするのが無駄じゃない?」,一瞬「エッ?」と声にならない声がする.私はたたみかける,「歯磨きしてもむし歯になるんだったら,もう歯を磨かなくていいんじゃない? やめたら?」. この質問は,診療室でブラッシング指導をする前に大人にもすることがある.ブラッシングをする理由として,ほとんどの人がむし歯予防と答える.が,それでもむし歯ありますよね,とたたみかける.「なんで毎日歯を磨いているんだろう?」,そういう疑問をもってもらうことから健康教育は始まる.FEATURE特 集 4生きる力を育む学校歯科保健プログラム歯肉炎をターゲットにした健康教育はじめに:小学校の現場での健康教育の様子松岡奈保子*/山本未陶*/三浦喜久雄*/筒井昭仁*,*1*NPO法人ウェルビーイング/*1福岡歯科大学口腔保健学講座連絡先:〒810‐0041 福岡県福岡市中央区大名1‐15‐24 Well-Being BLDG2FSchool-based Oral Health Programs fostering Zest for LivingNaoko Matsuoka, Mito Yamamoto, Kikuo Miura, Akihito Tsutsuiキーワード:学校歯科保健,歯肉炎,健康教育118the Quintessence. Vol.33 No.12/2014—2632

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