ザ・クインテッセンス12月
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薬物動態抗菌薬投薬術後管理鎮痛薬NSAIDsステロイド剤ビスフォスフォネート公立学校共済組合 九州中央病院歯科口腔外科連絡先:〒815‐8588 福岡県福岡市南区塩原3‐23‐1堀之内康文キーワード:術後管理,投薬高齢者・有病者の外科処置時の偶発症予防Yasufumi Horinouchi連載目次(予定)総 論 これで安心! 高齢者・有病者の外科処置時の偶発症予防��6月号各論1 全身的偶発症を防ぐための患者情報の収集�������7月号各論2 術前の全身状態の評価,術前管理�����������8月号各論3 全身的偶発症の原因であるストレスの軽減法������9月号各論4 全身的偶発症を防ぐための痛くなくてよく効く局麻���10月号各論5 術中管理,モニタリング���������������11月号各論6 術後管理,投薬�������������������12月号1.術後の管理としての 薬剤の知識の重要性 リスクの高い有病高齢者であっても,処置がとくに問題なく終了すればその後に重篤な全身的偶発症を引き起こす恐れは低く,術後管理は通常は腫脹,疼痛,止血,感染予防などの局所管理が主となる.しかし谷口らの報告1によれば,治療終了後に待合室や自宅で全身状態が悪化した症例も報告されており,術後にも注意が必要である. 帰宅後の全身状態の悪化が歯科治療と直接的な関連があるかどうかは不明であるが,歯科で処方された抗菌薬や鎮痛薬による薬剤アレルギーや他科処方薬との相互作用などの副作用によるものがあるのではないかと考えられる. 薬剤による偶発症を防ぐという点から,歯科で処方する薬剤について,全身疾患への影響,使用中薬剤との相互作用や併用禁忌についての知識が重要である.2.薬剤投与上知っておくべき高齢者の特徴 高齢者の薬物動態(薬剤の吸収,分布,代謝,排泄)に影響する生理的特徴を図1に,高齢者に対する薬剤投与時の一般的な注意点を図2に示す.とくに血漿タンパク量の低下と腎血流量の減少は薬剤の効果,副作用の発現に大きく影響する.3.高齢者における抗菌薬,鎮痛薬投与時の注意点 歯科で投与される薬剤で多いのは抗菌薬,鎮痛薬であるので,まずこの2つについて高齢者の対する使い方の基本を挙げる(図3,4).6 術後管理・投薬(最終回)これで安心!60Over60歳以上の患者に関する重要トピック135the Quintessence. Vol.33 No.12/2014—2649

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