ザ・クインテッセンス 2017年11月号
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特 集 3なく,中度,軽度でも長い期間でみると,酸素が不足するイベントの負担は,生命にかかわる循環器系の疾患に関与することを前号で提示した. 歯科医院では,患者は水平位のチェアーで長時間仰臥位である.患者の骨格的問題だけではなく,眠気やイビキなどに気がつく機会がある.OSASは未診断,未治療が多い疾患であるだけに,歯科の臨床医が問題を把握,患者に提示,必要な場合は専門医に紹介するなどの認識が必要となるであろう. 咽頭に隣接する歯科として隣接医学を理解するだけではなく,軟組織の問題,下顎の位置,口腔内容量と咬合とのかかわり,欧米人とアジア人の骨格の違い,加えて現代の食文化での顎骨格的問題などを 成人の閉塞性睡眠時無呼吸症候群(obstructive sleep apnea syndrome:以下OSAS)は,社会生活に対する影響だけでなく,生命予後に関する身体への影響がある疾患である.前号では,OSASの疫学,原因,治療について提示した.しかし,一般臨床家にとって「OSASは専門医に任せる分野」という固着観念があるのではないだろうか.過去,筆者らもそうであった. 呼吸が停止しているのは睡眠時のイベントであり,患者本人の自覚はないことが多い.そのため未診断,未治療が85%といわれている1.医科で持続性陽圧呼吸器(continuous positive airway pressure:以下CPAP)治療対象としている重度のOSASだけで咬合治療の臨床的観点から閉塞性睡眠時無呼吸はじめにToshihiro Imai, Mayumi ImaiIt is Important to Diagnose Intraoral Spaceキーワード:閉塞性睡眠時無呼吸症候群(OSAS),上気道抵抗症候群(UARS),咬合再構成治療今井俊広/今井真弓鳥取県開業 今井歯科クリニック連絡先:〒683‐0853 鳥取県米子市両三柳2033後編:症例からみる,OSASと咬合のかかわりSPEAKER’S ARTICLE第8回 日本国際歯科大会2018Aホール10/6(SAT)午前76the Quintessence. Vol.36 No.11/2017—2388

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