ザ・クインテッセンス 2017年11月号
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考慮するとOSASはわれわれ一般臨床家こそが介入すべき疾患であり,未診断を減らせるかもしれない. 本稿では,咬合など臨床に直結した観点から,OSASを検討してみたい.(図2a,b).軽度のOSASがある人であれば,義歯を未装着で就眠すると,軽度以上のOSASになる可能性は否定できない.OSAS患者で,総義歯を装着しての睡眠時と未装着での睡眠時を比較すると,約2/3の患者において,前者のほうがAHIは良くなったという報告がある2. また,セファロでの解析から,義歯装着は舌および顎,咽頭気道のスペースといった無呼吸発作の減少に有利な状態となる可能性の報告3など,義歯による下顎の位置の関与が示唆された実験報告がある.装着されている義歯の咬合高径や顎位が適正でない 「OSASと咬合?」と思うかもしれないが,OSASの治療で効果を発揮している口腔内装置(oral appliance:以下OA)について振り返りたい.下顎を前方にすることで,OSASの改善が得られるメカニズムである(図1a,b,8a,b).逆に咬合崩壊で下顎が後方に偏位し,咬合高径が低下していれば,口腔内容量が減り舌の居場所が窮屈になる.米国においても近年,歯科治療における口腔内容量の重要性が盛んに示唆されており,外科矯正治療も増加している. 極端な例ではあるが,無歯顎患者の総義歯装着時と未装着時における口腔内容量は,大きく変化するを考察するOSASと咬合とのかかわり77the Quintessence. Vol.36 No.11/2017—2389

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