ザ・クインテッセンス 2018年2月号
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65the Quintessence. Vol.37 No.2/2018—0323OAの保険収載はその後の2004年のことで,これにより歯科が“医科で睡眠時無呼吸症と診断され紹介された場合”において,その製作および治療を担うことが可能になった.CPAPと比較して心理的負担が少ないOAが保険収載され,経済的な負担も軽減したことは喜ばしいことだった.これにより,OAによるOSASの治療が手の届きやすい選択肢となったはずだったが,それほど患者が増えた印象はなく,日本人の5~6人に1人がいびき症,50~60人に1人が OSASと推定される現状とは一致しない現実がある. その原因の1つには,医療者・患者ともに,OAという治療法に対する認知度が今もって低いことが考えられる.さらに,OAの適応はその保持のために多くの残存歯数を要するといわれており,これによって残存歯数の少ないOSAS 患者の治療機会が失われていることもあるのかもしれない. そのような現状のなかで,以前から医科・歯科の良好なコミュニケーションのもと,OSAS患者への OA適用に積極的に取り組んでいる医師・歯科医師に,その内容をご紹介いただく.この歯科医師たちは,OAの適応が難しいとされる残存歯数の少ないOSAS患者であっても,歯科のプライドにかけてOA適用を試み,良好な結果を出している.結果的に,患者の経済負担も軽減しており,また,より多くの国民のQOL向上に貢献すべく,地域の医療機関との医療連携に基づくOA治療も行ってきている. 本企画ではOSASの基礎知識をふまえ,とくにOA製作の診療・技工操作の一連の流れに焦点をあて,その時々のポイントや注意事項に言及しながら解説する.OAの製作の詳細はもちろん,OSASの治療およびOA製作に対して, 歯科が医科とどのように連携すべきかについてもご理解いただけると思う.

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