ザ・クインテッセンス 2018年2月号
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診断力連載口腔粘膜疾患診断力テスト本連載は,口腔粘膜疾患の1症例の資料(口腔内写真など)を提示し,読者にその診断名・治療方針を考えてもらう欄である.109the Quintessence. Vol.37 No.2/2018—0367熱したが,口内炎ができ始め,徐々に数が増加してきたという.既往歴:特記事項なし.全身状態:良好であるが,経口摂取は疼痛のため困難で水分のみを摂取している.現症:意識は鮮明で体温36.5度,血圧,心拍数,呼吸には異常なかった.口腔内には,左右側頬粘膜,舌下部,口唇粘膜,口蓋粘膜に多発性のアフタ様口内炎と小水疱がみられ,口内炎は刺激により強い疼痛を誘発した.他に口腔粘膜には偽膜や白苔,発赤や出血はみられない.主訴:多発性の口内炎.患者:31歳,男性.現病歴,家族歴:4日前より口内炎が出現したため,市販の口内炎薬を塗布して様子をみていたが,徐々に数が増加し,疼痛が強くなってきたため来院.患者は4歳になる保育園に通う長男および妻と生活している.約3週間前に長男に発熱と多発性の口内炎がみられ,食事摂取が十分できなかったため小児科を受診,感冒との診断で投薬を受けた.その後,長男は回復したが,10日前より患者本人に全身倦怠感と発熱がみられるようになった.発熱は4日前に解図1a,b 上下唇,左右頬粘膜に小水疱と水疱が自壊した小アフタがみられる.ab執筆・コーディネート:岩渕博史神奈川歯科大学大学院歯学研究科顎顔面病態診断治療学講座顎顔面外科学分野連絡先:〒238‐8580 神奈川県横須賀市小川町1‐23第2回「口内炎がいくつもできて,痛みで食事ができない」答は次頁症例の概要Q以下の症例で考えられる,診断および治療方針は?

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