ザ・クインテッセンス 2018年3月号
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抜歯窩治癒と歯槽堤保存術―そのエビデンスと臨床―後編:歯槽堤保存術のすべて米国歯周病専門医がひも解く76the Quintessence. Vol.37 No.3/2018—0580Alveolar Socket Healing and Ridge PreservationSeiko Min, Ronald E. Jungキーワード:歯槽堤保存術,骨補填材,インプラントクグラフトや,骨補填材を用いる骨増生等の二次的な処置を必要とする可能性も考えられる.このように,抜歯窩治癒と付随する骨吸収を予期しないと審美的,機能的な問題を起こし,患者が満足できる臨床結果が得られず,また,二次的な処置によって治療期間が長くなる.さらに治療費も高くなり,治療の難易度も上がるため,術中にミスが起きる可能性が考えられる. このような複雑な治療を避けるために,Ridge preservationが紹介された.抜歯窩に骨補填材を移植し,骨吸収量を最小限にして抜歯後の治療の単純化を図り,良好な治療結果を確実に得ることを意図する.Ridge preservationは,Ashmanら5,Greensteinら6,Kentrosら7によって紹介され,Ridge maintenanceという名称で表現されていた.Socket graft,Socket preservation,Ridge preservation等,さまざまな呼称で表現されているが,歯槽骨の形態を保存する目はじめに 前編(2月号)にて,抜歯後の抜歯窩治癒について解説したように,抜歯窩治癒創傷の一部として水平性,垂直性骨吸収が起こる.抜歯窩形態変化は,主に抜歯後より3か月まで起こるとされているが,6か月続くこともあり1,抜歯後歯槽骨形態変化が予想できないと,最終補綴装置装着後に抜歯後骨吸収が収まらずに,予期しなかった問題を引き起こす.また,頬舌側骨幅の狭小(抜歯前骨幅に対する50%の水平性骨幅が喪失)2と垂直性骨吸収3により,理想的な位置へのインプラント埋入が困難になる.Tanら4はメタ分析を行い,3.8mmの水平性骨吸収と1.24mmの垂直性骨吸収が起こることを示した. 抜歯後骨吸収が原因で,インプラント埋入前や埋入時にオトガイや下顎枝から骨採取を要するブロッ閔 成弘*/Ronald E. Jung*1*Assistant Professor, Department of Periodontics and Dental Hygiene, University of Texas Health Science Center at Houston*1Professor, Clinic for Fixed and Removable Prosthodontics and Dental Material Science, University of Zürich代表連絡先:*7500 Cambridge Street, Houston, USA 77024特 集 3SPEAKER’S ARTICLE第8回 日本国際歯科大会2018Eホール10/5(FRI)午後SPEAKER’S ARTICLE第8回 日本国際歯科大会2018Bホール10/6(SAT)午後

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