ザ・クインテッセンス 2018年3月号
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診断力連載口腔粘膜疾患診断力テスト本連載は,口腔粘膜疾患の1症例の資料(口腔内写真など)を提示し,読者にその診断名・治療方針を考えてもらう欄である.109the Quintessence. Vol.37 No.3/2018—0613(図1).触診で軽度の接触痛を訴えたが,易出血性や白斑の剥離はみられなかった.また硬結は触知されなかった.右側頬粘膜をはじめ口腔他部位の粘膜に異常はみられなかった.検査所見:血液検査で特記すべき異常所見なし.病変表面の擦過によるカンジダ培養検査でCandida albicansのコロニーがごく少数検出された.生検時の病理組織写真を図2に示す.主訴:頬の裏がただれている.食べ物がしみる.年齢・性別:73歳,女性. 既往歴:特記事項なし.現病歴:約2か月前に左側頬粘膜の違和感と接触痛を自覚.鏡で見たところ,同部に広範囲な発赤があったという.様子を見ていたが改善しないため来院.現症:初診時,左側頬粘膜に境界やや不明瞭,平坦で不整形の白斑と紅斑が混在した病変がみられた図1 初診時の口腔内所見.図2 生検時の病理組織写真.第3回「頬の裏がただれている.食べ物がしみる」答は次頁症例の概要Qこの病変に対する診断と治療方針は?執筆:伊東大典*/コーディネート:岩渕博史*1 *自治医科大学歯科口腔外科学講座*1神奈川歯科大学歯学研究科顎顔面機能再建学講座代表連絡先:*〒329‐0498 栃木県下野市薬師寺3311‐1

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