ザ・クインテッセンス 2018年4月号
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顎関節症への実践的アプローチ顎関節症への実践的アプローチ力のリスク診断によって変わる治療計画(第3弾)顎機能検査・診断・治療⑥力によって起こるトラブルと現象①顎関節・周囲組織②垂直的顎位③水平的顎位④前歯,とくに犬歯の位置と形態⑤臼歯咬合面形態力のリスク診断62the Quintessence. Vol.37 No.4/2018—0788特 集 2図1 力のリスク診断における6項目(文献1より引用).大阪府開業 大森歯科医院連絡先:〒541‐0053 大阪府大阪市中央区本町3‐1‐2 大原ビル2F‐A大森有樹Yuki Omoriキーワード:リスク,顎関節症,力The Practical Approach for Temporomandibular Disordersはじめにれら1~5項目で下顎位を含む現在の咬合状態を端的に表しているのである.2つ目は,そこにどのような力がどのくらいかかっているのかを,第6項目の「力によって起こるトラブルと現象」で診査している(図2).これに関しては本誌2015年12月号に第2弾として掲載した2. 顎口腔系のトラブルの原因はう蝕,歯周病,力,医原性の4つに大別できるが,そのなかでも力に起因するトラブルは非常に多く,われわれ臨床家を悩ませる.本誌2013年8月号に掲載した「力のリスク診断によって変わる治療計画:第1弾」では,どのように力のリスクを診断すればよいのかについて,類似症例を提示しながら日常臨床で実践的に取り入れやすい形で提案した1. そこで,まず力のリスク診断について復習してみよう(図1).これらの6項目はそれらのもつ意味で大きく2つに分けることができる.1つ目は,1~5項目を用いて現在の患者の咬合状態を診査する.第1項目は顎関節・周囲組織の状態を知ることで現在の下顎位が異常でないかどうかのスクリーニングをしている.第2,3項目で下顎骨体の上顎骨(頭蓋骨)に対する位置を調べている.そして第4,5項目で上下の歯の位置と形態の関係をみている.こSPEAKER’S ARTICLE第8回 日本国際歯科大会2018Fホール10/7(SUN)午前

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