ザ・クインテッセンス 2018年4月号
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診断力連載口腔粘膜疾患診断力テスト本連載は,口腔粘膜疾患の1症例の資料(口腔内写真など)を提示し,読者にその診断名・治療方針を考えてもらう欄である.119the Quintessence. Vol.37 No.4/2018—0845服薬:特記事項なし.現症:下顎左側小臼歯部の頬側歯槽歯肉粘膜および頬粘膜に限局性の接触痛をともなう軽度の発赤,びらんあり.重度の歯周ポケット形成,歯肉腫脹,自然出血や排膿なし.検査所見:細菌培養検査では常在細菌のみが検出され,カンジダ菌などの真菌は検出されず,一般血液検査,尿検査は異常なし.パノラマエックス線写真では軽度の全顎的な水平性歯槽骨吸収を認めるも,その他に明らかな異常なし.主訴:ブラッシング時の出血と口内炎が治らない.患者:53歳,女性.現病歴:初診の数週間前よりブラッシング時に歯肉出血を自覚した.その後,歯肉以外の口腔粘膜にも口内炎を自覚するようになり,かかりつけ歯科医院にて局所ステロイド療法をうけるも症状の改善はなかった.既往歴:C型肝炎,子宮筋腫.全身状態:腹部・消化管症状,他部位の粘膜および皮膚症状なし.その他にも特記すべき異常を認めず.図1 a:全顎的に歯肉の炎症は顕著でなく,刷掃時や食後に粘膜疹が発症する.b:アフタ性潰瘍のような類円形の粘膜疹ではない.第4回「ブラッシング時の出血と口内炎が治らない」答は次頁症例の概要Qこの病変に対する診断と治療方針は?執筆:⻆田和之*/コーディネート:岩渕博史*1 *慶應義塾大学医学部歯科・口腔外科学教室*1神奈川歯科大学歯学研究科顎顔面機能再建学講座代表連絡先:*〒160‐8582 東京都新宿区信濃町35ab

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