ザ・クインテッセンス 2018年5月号
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エビデンスと時間軸を踏まえた新時代のエンド・ペリオ病変の臨床基準2アドバンス編 本稿は,昨年6月号に掲載になった同名の拙稿の続編であるため,はじめに前回の要点を確認しておきたい. 深いポケットを有していて,根管内にも感染が疑われる状態の病変を「エンド・ペリオ病変」と定義し,病因による分類についてはいわゆるSimonの分類1,6を引用して,臨床で診査するべき項目と意思決定の手順について,治療時間軸も意識してフローチャートを作成した(図1).① エンド・ペリオ病変が疑われた場合には,まず根管内の感染に対処する,いわゆる「エンドファースト」が原則である.Ryo IshikawaEvidence-Based Clinical Diagnostic Criteria of Endo-Perio Lesion Considering the Dynamics of Lesion Development and Healing2キーワード:エビデンス,時間軸,エンド・ペリオ病変,臨床基準石川 亮兵庫県開業 石川齒科醫院連絡先:〒661‐0033 兵庫県尼崎市南武庫之荘1‐12‐20 モダリエ2Fはじめに② その際,既根管治療歯であることが明らかであれば問題ないが,歯髄が生活している可能性がわずかでもあるなら,抜髄処置には「不可逆性歯髄炎である」という歯髄に対する診断が不可欠である.③ 根管治療前,治療中,充填後という一連の時間の流れとともに,ポケットの状態が改善するか否かは,非常に重要な鑑別診断のポイントである.改善がみられた場合は,ポケットはエンド病変からの単なる排膿路の役割であった可能性が高い.ポケットの変化を観察せずにSRPを開始することは,歯石沈着が明らかでない限り,避けるべきである.④ 根管治療後もポケットに改善の兆しがみられない,SPEAKER’S ARTICLE第8回 日本国際歯科大会2018Gホール10/7(SUN)午前FEATURE特 集 144the Quintessence. Vol.37 No.5/2018—1012

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