ザ・クインテッセンス 2018年5月号
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診断力連載口腔粘膜疾患診断力テスト本連載は,口腔粘膜疾患の1症例の資料(口腔内写真など)を提示し,読者にその診断名・治療方針を考えてもらう欄である.97the Quintessence. Vol.37 No.5/2018—1065と食事時にあり,とくに塩味に対する刺激痛が強いという.舌縁の口内炎はがまんができたが,舌尖の疼痛はがまんができないということで来院した.既往歴:高血圧症,脂質異常症.現症:全身的な異常は認めない.主訴:舌の痛み.患者:70歳,女性.現病歴:以前からときどき舌に口内炎ができていたが,1年前から頻度が増し,1〜2か月に1回のペースでできるようになった.舌縁に生じることが多かったが,今回は舌尖に出現した.疼痛は会話時図1a,b 口腔病変は,左側舌下面(采状ひだの上端で舌尖に近い部位)と左側舌背の前方部の2か所に認めた.直径3mmの円形の境界明瞭な浅い潰瘍で,その周囲を紅斑が取り囲んでいる.口腔の他の部位に異常所見はなく,口腔乾燥もない.歯面にプラークが目立つが,歯周病は軽度である.第5回「舌にできた口内炎が痛い」答は次頁症例の概要Qこの病変に対する診断と治療方針は?執筆:中川洋一*/コーディネート:岩渕博史*1*鶴見大学歯学部附属病院口腔機能診療科*1神奈川歯科大学歯学研究科顎顔面機能再建学講座代表連絡先:*〒230‐8501 神奈川県横浜市鶴見区鶴見2‐1‐3ab

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