ザ・クインテッセンス 2018年5月号
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フルオロアルミノシリケートガラス含有歯面コート剤を用いた再石灰化療法の提案はじめに フルオロアルミノシリケートガラス含有歯面コート剤の組成は,フルオロアルミノシリケートガラス分散液(A液)とリン酸水溶液(B液)で,従来のシリケートセメントの組み合わせであるが,A液に含まれる粒子サイズを象牙細管開口径(約2μ)より小さな粒子,つまりナノレベルに制御したことで象牙細管封鎖性をもたせている.商品名はナノシール®(日本歯科薬品)で,象牙質知覚過敏抑制材として製造販売認証を受けている(図1).以下,フルオロアルミノシリケートガラス含有歯面コート剤はナノシールと省略する.また,ナノシールは基礎研究および臨床研究から象牙質知覚過敏の抑制ばかりでなく歯質の再石灰化,耐酸性効果が認められるため,当院ではう蝕抑制薬として使用している. そこで,今回これまでのナノシールに関する研究などを踏まえて当院のナノシールの活用について紹介する.なお,症例呈示においては患児の養育者の了解を得て目隠しはしていない.1.ナノシールについて1)ナノシールの反応 ナノシールの反応(図2)については,シリケートセメントと同様でA液とB液を混和するとフルオロアルミノシリケートガラスとリン酸が反応を始めケイ酸塩ゲルを形成1,これを歯面に塗布し水洗す大野陽真*/大野慧太郎*/大野秀夫*/西田郁子*1Proposal of Remineralization Therapy Using a Fluoroaluminosilicate Glass-containing Tooth Surface Coating MaterialHideo Ohno*, Youma Ohno*, Keitarou Ohno*, Ikuko Nishida*1キーワード:フルオロアルミノシリケートガラス含有歯面コート剤,再石灰化療法,低年齢児のう蝕管理*おおの小児矯正歯科*1九州歯科大学口腔機能発達学分野*代表連絡先:〒750‐0012 山口県下関市観音崎町11‐8フルオロアルミノシリケートガラス含有歯面コート剤図1 ナノシールは2012年2月に発売された.日本歯科薬品株式会社提供148the Quintessence. Vol.37 No.5/2018—1116

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