ザ・クインテッセンス 2018年6月号
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直接法 vs 間接法組織・解剖学的見地から考える臼歯部MI修復直接修復の優位性前編40the Quintessence. Vol.37 No.6/2018—1254二宮佑介Direct Restoration vs Indirect RestorationMinimal Invasive Restoration Utilizing a Histo-anatomic Approach for Posterior TeethYusuke Ninomiyaキーワード:MI修復,コンポジットレジン,エナメル質,象牙質東京都開業 ニノデンタルオフィス連絡先:〒150‐0001 東京都渋谷区神宮前4丁目17‐16 エリキサ表参道2F特 集 1はじめに 修復治療において,明らかにパラダイムシフトが起こっている.“生体模倣”すなわち“Biomimetic approach”,“Bio-Emulation approach” と呼ばれるものである.それにより,審美的かつ低侵襲な治療が行われるようになってきた. 2002年に国際歯科連盟(FDI)から提唱されたMinimal Intervention(MI)1は,う蝕管理における最小の介入という概念の下,①口腔内細菌叢の改善,②患者教育,③再石灰化,④う窩性病変への最小限の侵襲(修復処置),⑤補修修復,の5つを提唱するものである.これを簡単に言えば“歯の不要な切削を回避するということ”となる.なかでも,④に挙げた最小限の侵襲(修復処置)には,接着歯学とその材料の飛躍的発展が大きく寄与しており,理論的には,これらの応用によって従来の維持のための形成デザインを必要とせず,う蝕のみを除去し充填することで歯質が最大限に保存できるとされてきた.筆者もその考えに基づき,これまでに MI 修復を積極的に取り入れてきた.そのなかでMI修復が長期的かつ良好に維持されるには,的確な診断による修復方法の選択,形成デザイン,確実な防湿法,適切な接着処理法などを十分に理解し,実践することが大切であると感じている.そして修復を行う歯の組織・解剖学的な見地からの考察が欠かせないことに気づいた. 本稿では,そのような MI 修復の本質ともいうべき接着修復の組織・解剖学的な見地からの考察を臼歯部に的を絞って行い,その修復治療を成功に導くための要諦を解説したい.

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