ザ・クインテッセンス 2018年6月号
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【はじめに】咬合は見た目で診断できる? できない?80the Quintessence. Vol.37 No.6/2018—1294中村健太郎Why Can We Not Diagnose the Occlusion by the Appearance?Kentaroh Nakamura愛知県開業 Shurenkai Dental Prosthodontics Institute連絡先:〒461‐0025 愛知県名古屋市東区徳川1‐407‐2 Fortress TOKUGAWA特 集 3キーワード:咬合,補綴歯科治療,矯正歯科治療,検査 補綴歯科治療では,左右対称性の歯冠形態やU字型歯列弓などを付与することで,審美性はもちろんのこと,咬合の安定が得られるとする診断用ワックスアップが慣例的である.咬合崩壊や顎機能障害など,いかなる症例でもワックスアップ模型を基準として,術前の矯正歯科治療や補綴歯科治療による咬合再構成が施されている. しかし,最後にはプロテクションスプリントの夜間装着や破損しないフルジルコニアの導入など装着された補綴装置の恒久性を求めてさまざまな画策が練られ,仕上げたはずの咬合に翻弄される毎日であろう. 咬合を見た目という検査で診断しているドグマや,術者が理想的とするきれいに整った咬合を与えることで咬合が安定する,かつ機能も正常に営まれるとするバイアスが蔓延していることが,咬合を混沌とさせている元凶であると言っても過言ではない. 本稿では,「咬合は見た目で診断できる? できない?」という咬合の謎解きに,筆者が探偵に扮して挑戦してみたい.SPEAKER’S ARTICLE第8回 日本国際歯科大会2018Aホール10/6(SAT)午前

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