ザ・クインテッセンス 2018年7月号
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薬の管理13のポイントこれだけはおさえておきたい48the Quintessence. Vol.37 No.7/2018—1500岩渕博史Drug ControlHiroshi Iwabuchiキーワード:医療用医薬品,歯科用薬剤,毒薬,劇薬神奈川歯科大学大学院歯学研究科顎顔面病態診断治療学講座顎顔面外科学分野連絡先:〒238‐8580 神奈川県横須賀市稲岡町82番地特 集 2 歯科における治療の主体は外科的手技や処置であるが,その補助的手段や術後管理においては,薬物療法も重要な手段となる.歯科で用いる医薬品には,一般医科でも使用する「医療用医薬品」と局所麻酔薬をはじめとする「歯科用薬剤」が存在する.また,根管処置などで用いる「処置薬」と処方箋の必要な「処方箋薬」が存在する.すべての医薬品は,医薬品医療機器等法(旧薬事法)によって管理されており,保管法などが細かく決められている.加えて,歯科医院では医薬品以外にも「消毒薬」や毒物及び劇物取締法により定義される「毒物・劇物」も使用されており,それぞれ保管法や使用法に注意を払う必要がある. また近年,歯科分野においても訪問診療の機会が増加し,在宅患者に対する医薬品の使用頻度が増加している.在宅患者に医薬品を使用する際には外来患者とは異なる特性に配慮する必要がある.在宅や施設入所中の患者における薬物療法の安全性を確保するには,患者の食事,排泄,移動など生活環境を考慮した処方・調剤,投与を行うとともに,コンプライアンスの確保,飲み間違い防止,副作用の早期発見および重篤化防止,重複投与および相互作用の防止等のために,的確な管理および服薬指導を行うことが重要である.状況によっては,調剤薬局や訪問薬剤師と連携しながら,適切な投薬および服薬指導をする必要がある.各医療職が連携し,在宅患者への服薬管理・指導を行うことで,治療効果と安全性の両方の向上が期待できる. そこで本稿では,まず歯科における薬の管理の問題点と薬を適切に保管するための三大原則や剤形により薬の保管方法が異なることを解説する.そのうえで,歯科医院における薬の管理の実際として医薬品医療機器等法で取り決められている事項のうち,歯科にとっても重要な項目であるが見落とされていることの多い「劇薬」の取り扱いについて解説する.また,最近話題の訪問歯科診療における薬の管理の留意点についても解説する.はじめに

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