ザ・クインテッセンス 2018年7月号
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WORLD ARTICLEはじめに 間接法における臼歯部接着修復物(posterior indirect adhesive restorations:以下,PIAR)(図1)は,広範囲に及ぶ歯質欠損に対して広く臨床応用されている1,2.接着による部分被覆冠は,全部被覆冠の形成デザインと比較し健全歯質の保存が可能である3~5. 窩洞の形態により,臼歯部の修復物はインレー(咬頭被覆なし),アンレー(1つ以上の咬頭を被覆),オーバーレイ(完全に咬頭を被覆)およびベニアレイ(ラミネートベニアと同様に頬側歯質を含んだオーバーレイ)の4タイプに分けられる. 近年では,さまざまな手法や多くの歯科材料の開発により,さまざまな修復方法が求められている.接着技術の進歩やそれらの高い予知性6は,従来の基本的な治療と異なる新しい治療計画が必要となる.修復治療に接着技術を使用することで,歯質の保存,辺縁封鎖,機能,審美などの面でさまざまな優位性をもたらしていることに疑いの余地はない7.PIARによる治療では,これらの利点が十分に生かされている. 適応症の評価,臨床状況に即した形成デザイン,適切な修復材料の選択,正確な印象採得と修復物の製作,および確実な装着方法などの臨床ステップを遵守することで,PIARでは高い審美性の獲得に加えて,修復物の予後8,患者の満足度においてもこれまでと違った臨床結果を得ることが可能である.日々の臨床におけるわれわれの経験では,各治療ステップを適切に行わないと予知性のある結果を得ることは難しい.つまり,良好な結果を得るには,治療ステップを適切に統合・体系化する必要がある. 本論文の目的は,これから出版される本7で詳しく書かれているPIARに関連する治療ステップの重翻訳:窪地 慶/小峰 太(日本大学歯学部歯科補綴学第Ⅲ講座)Quoted from : INTERNATIONAL JOURNAL OF ESTHETIC DENTISTRYOriginal Title : Posterior indirect adhesive restorations(PIAR) : preparation designs and adhesthetics clinical protocolVOLUME12, NUMBER4, 2017©Quintessence Publishing Company Inc.キーワード:臼歯部接着修復物,形成デザイン,接着方法間接法における臼歯部接着修復物の形成デザインと接着方法Federico FerrarisPrivate Practice, Alessandria, ItalySPEAKER’S ARTICLE第8回 日本国際歯科大会2018Bホール10/7(SUN)午後WORLD ARTICLE:特別編第8回日本国際歯科大会海外演者関連論文104the Quintessence. Vol.37 No.7/2018—1556

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