ザ・クインテッセンス 2018年8月号
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すべての人にカリエスマネジメントを第67回 日本口腔衛生学会・総会 シンポジウム3「すべての人にカリエスマネジメントを」再録Caries Manegement for All64the Quintessence. Vol.37 No.8/2018—1762キーワード:カリエスマネジメント,ICDAS,う蝕治療診療指針 う窩に対する治療をう蝕治療であるとする時代はすでに過去になりつつある.う蝕とは,脱灰と再石灰化の均衡が崩れた状態で歯質のミネラルが失われる状態であり,う蝕治療は,脱灰再石灰化の崩れたバランスを元に戻して,長期的に健全歯質を保存することである.そのためには,初期う蝕を検出して,活動性の評価を行い,カリエスリスクアセスメントを実施した後,総合的に診断を行い,適切な治療を提供する必要がある.さらに,その経過を評価して,モニタリングすることも大事である. Pittsは,2009年にICDASが可能にする患者中心のカリエスマネジメントを本の表紙に掲載した(図1)1.この図は,従来のう蝕治療がう窩の発見に対して治療して終了となる一方通行であることに対して,脱灰と再石灰化を揺れ動く口腔内の状態に対して継続的な診査,治療,モニタリングを行うサイクルとして提示しているのが特徴である.う蝕をう窩ができる初期段階で発見して,非切特 集 2はじめに:う蝕治療の診療指針案策定について杉山精一Seiichi Sugiyama千葉県開業 杉山歯科医院連絡先:〒276‐0027 千葉県八千代市村上団地1‐53▲第67回 日本口腔衛生学会・総会にて.シンポジウムの様子.▶左から名生幸恵氏,斉藤仁氏,杉山精一氏,花田信弘氏,林美加子氏,柘植紳平氏.

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