ザ・クインテッセンス 2018年8月号
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第1回 再生療法を計画する際の留意点新隔月連載(偶数月に掲載)再生療法成功のポイント111the Quintessence. Vol.37 No.8/2018—1809連載にあたって 中等度以上に進行した歯周炎患者の治療計画を立案する際,抜歯か保存か悩むことがしばしばある.抜歯すべきかどうかは個々の歯の歯周炎罹患状態のみならず残存歯質の状態,隣在歯の状態,補綴計画,患者の希望などさまざまなことを考慮して判断することになるが,可能なかぎり歯の保存に努めたいと考えている歯科医師は多いのではないだろうか. 歯周組織再生療法(以下,再生療法と略す)は,一見保存が困難と思えるほどにアタッチメントロスが生じた歯においても,その歯の予後を大きく改善することが可能な治療法である.近年,再生療法のプロトコルは整理され1,2,良好な結果も多く報告されており,以前にも増して歯周炎罹患歯の保存の可能性は高まってきている. 本連載では再生療法のコツを3回にわたって解説する.再生療法で良好な結果を得るためには,当然のことながら適応症の選択が重要である. そこで,1回目となる今回は,再生療法の適応症かどうか判断する際に筆者が留意しているポイントについて述べる.1患者因子 再生療法を行うにあたって,まずは押さえておくべき患者因子について解説する(図1).①全身疾患のコントロール 全身的問題がないか確認する.とくに糖尿病は歯周炎に深く関与し,創傷治癒への影響や術後感染の奈良嘉峰キーワード:再生療法,患者因子,患歯因子,歯槽骨のハウジング静岡県勤務 セントマリアフューチャークリニック連絡先:〒426‐0034静岡県藤枝市駅前1‐8‐3‐201図1 再生療法を行うにあたって,口腔内のプラークコントロールはもちろん,全身疾患のコントロールやブリーディングコントロール,喫煙習慣,患者の協力度も重要な因子である.■患者因子プラークスコア<15%ブリーディングスコア<15%患者の協力度喫煙禁煙 or <10本/日全身疾患(とくに糖尿病)のコントロールHbA1c ≦ 6.9%

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