ザ・クインテッセンス 2018年9月号
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システム論的視点から咬合高径の決定法を考えるヒンジアキシスを採用しないで咬合高径を決定する方法106the Quintessence. Vol.37 No.9/2018—2062荒谷昌利How to Determine the OVD without Locating Hinge AxisMasatoshi Arayaキーワード:Bioesthetic Preview Guide,平衡側クリアランス,3mm側方のテストポジション埼玉県開業 荒谷デンタルクリニック連絡先:〒344‐0061 埼玉県春日部市粕壁1‐9‐46特 集 3咬合器上で大幅に変化させた咬合高径を決定した場合,患者がその新しい咬合高径を機能的・審美的に受け入れられる保証は,治療する前において何も約束されていないという事実. そこで今回は,ヒンジアキシスの採用を回避して,咬合再構成治療を行った2つの症例を紹介させていただき,咬合高径の意義を考えてみたい.1症例目は,重篤なBrachyofacial Patternの患者の咬合高径を大幅に挙上した症例,2症例目は重篤なDolicofacial Patternの患者の咬合高径を可能な限り大幅に減少させた症例である.症例3:重度咬耗症例における咬合再構成治療 初診時56歳,男性.臼歯部歯冠長の著しい減少にはじめに 前号では,とくに咬合再構成治療において,咬合高径を変化させる場合のヒンジアキシスの重要性について言及した.真の安定したヒンジアキシスを採用せず,平均値のイヤーボウトランスファーで模型が付着された咬合器上で咬合高径を変化させれば,程度の差こそあれ,修復補綴装置咬合面にほぼ間違いなくエラーを生じさせる.誤差の量が大きいほど,口腔内での補綴装置の調整は煩雑になり,当然,歯冠形態のパフォーマンスも低下する. それほどの絶対的信頼の源であるヒンジアキシスであるが,以下,大きな欠点が2つある.1)ハンドリングが煩雑なこと.2)たとえ正確にトランスファーできたとしても,本論文では,本文中に*で表記された部分の用語解説を119ページに掲載している.

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