ザ・クインテッセンス 2018年9月号
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GUEST EDITORIAL歯周病,インプラント周囲炎の新分類 米国歯周病学会(AAP)と欧州歯周病学会(EFP)が中心となり,2017年11月16日にシカゴにて,「the World Workshop on the Cla-ssication of Periodontal and Peri-Implant Disease and Conditions」として,歯周疾患,およびインプラント周囲疾患の分類を再考するミーティングが行われた. 現在まで使用されてきた歯周疾患の分類1は,約20年間改定されることなく,同じものが使用されていた.しかし,さまざまな方面からの研究が進み,約20年ぶりに分類の改定が行われた.今回は,単なる分類だけでなく多方面からのレビューも含まれるため,合計23本の論文から構成される一大プロジェクトとなった.歯周病分類の歴史 1942年,それまで統一されていなかったさまざまな種類の歯周疾患は,Orbanによって整理され,AAPからも初めて歯周疾患の分類として認知された.その後,1966年,1977年,1989年,1999年と約10年おきに見直しがされ,アップデートが行われてきた.そして,前述のAAPとEFPの合同ワークショップが2017年11月にシカゴで行われ,今回の新分類の発表となった.このワークショップに先立ち,2015年にはタスクフォースとして改変分類が発表されていた2.新分類の特徴 以下が新分類の特徴である.1. 侵襲性歯周炎,慢性歯周炎がなくなり,歯周炎として新しく「ステージ」と「グレード」による分類に変更.2. 全身的な因子の歯周炎分類への考慮.3. 生物学的幅径(biologic width)という用語の「supracrestal tissue attchment」への変更.4. 歯肉退縮の分類の整理.5. 咬合性外傷と歯周疾患との関係の再考.6. インプラント周囲疾患の定義の追加.7. 単なる分類の提案だけでなく,病因に対するレビュー. 次に,それぞれの具体的な変更点をご紹介する.『新』歯周炎について まず,1999年の分類では歯周炎は5つに大別されていたが,新分類では慢性歯周炎と侵襲性歯周炎が1つの歯周炎として分類されることとなり,分類は4つとなった(図1).まとめられた新分類の歯周炎は,グ約20年ぶりに改定された欧米「歯周疾患の分類」その変更点と注目点辻 翔太フリーランス歯周病専門医,大阪大学大学院歯学研究科口腔分子免疫制御学講座(歯周病学)招聘教員,米国歯周病学会歯周病ボード認定医連絡先:http://shotatsuji.com/, stsujidds@yahoo.co.jpキーワード:歯周疾患の新分類,歯周炎,インプラント周囲炎,ステージとグレード55the Quintessence. Vol.37 No.9/2018—2011

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