ザ・クインテッセンス 2018年10月号
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診断力連載口腔粘膜疾患診断力テスト本連載は,口腔粘膜疾患の1症例の資料(口腔内写真など)を提示し,読者にその診断名・治療方針を考えてもらう欄である.111the Quintessence. Vol.37 No.10/2018—2321われた. 初診の約1年後,右側下唇の腫脹を主訴に再度来院した(再初診時:図2).数日前から下唇に疼痛があり,それにともない右側下唇の水疱性の腫脹が出現してきたという.既往歴:特記事項なし.現症:全身的な異常は認めない.口唇の病変は,赤唇皮膚移行部を中心に皮膚と赤唇に水疱性病変を認めた(図2).主訴:口唇の腫脹患者:28歳,女性現病歴:初診の前日から両側下唇の腫脹とぴりぴりした疼痛が出現した.両側性に上下唇の乾燥,下唇の丘疹を認めた(初診時:図1).水疱形成は明らかではなかった.アトピー性口唇炎と診断され,ベタメタゾン吉草酸エステル・ゲンタマイシン硫酸塩軟膏(リンデロン®-VG軟膏0.12%)を処方された.これを塗布したところ1〜2日で改善傾向を示し,その後消失した.その10日後に再燃し,同様の処置が行執筆:中川洋一*/コーディネート:岩渕博史*1*鶴見大学歯学部附属病院口腔機能診療科*1神奈川歯科大学歯学研究科顎顔面機能再建学講座代表連絡先:*〒230‐8501 神奈川県横浜市鶴見区鶴見2‐1‐3第10回「下唇が腫れていて,ぴりぴり痛む」答は次頁症例の概要Qこの病変に対する診断と治療方針は?図1 初診時の口唇の所見.口唇の腫脹と疼痛を訴えて来院した.口唇の乾燥を認める.図2 再初診時の口唇の所見.初診から約1年後に右側下唇の疼痛と腫脹を主訴に来院した.右側下唇の赤唇皮膚移行部を中心に水疱を認める.

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