ザ・クインテッセンス 2018年10月号
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第2回 再生療法の実際①隔月連載(偶数月に掲載)再生療法成功のポイント129the Quintessence. Vol.37 No.10/2018—2339はじめに 歯周炎の代表的な臨床症状のひとつに歯槽骨の吸収が挙げられる.歯周炎が進行し,垂直性骨欠損が生じると,その歯の予後は不良であることが知られている1,2.歯周組織再生療法(以下,再生療法)はその問題を解決できる可能性のある治療法であるが,適応症を見誤ると深い歯周ポケットや垂直性骨欠損を残し,不十分な結果に終わることになる.再生療法後に生理的な骨形態が得られるかどうかを事前に予測することが大切であることを前回は述べた. 第2回となる今回は,垂直性骨欠損に対し再生療法の適応症と判断した際にどのような戦略で手術を行っていくか述べていきたい(図1).1再生療法の手順 再生療法含め歯周外科治療が行われる際は,歯周基本治療にて炎症や外傷性咬合が適切にコントロールされていることが前提である.再生療法は次の手順で行われる.1.口腔清掃2.浸潤麻酔3.ボーンサウンディング4.切開・剥離5.デブライドメント6.再生材料の選択と適用7.縫合8.固定9.術後管理2口腔清掃 患者には手術開始の30分前には来院してもらい,歯科衛生士による口腔清掃と,必要に応じて抗菌薬の術前投与を行う.口腔清掃はラバーカップ,歯間ブラシ,フロス,スーパーフロスを用いて,歯間部,コンタクトエリア,ポンティック下も含め,ていねいにプラークを除去する.舌ブラシを用いて舌苔も除去する.その後,クロルヘキシジンを含む洗口剤で含嗽してもらう.クロルヘキシジンはすぐれた抗菌作用,プラーク抑制効果を有することが知られている3,4.諸外国では一般的に0.12~0.20%の濃度奈良嘉峰キーワード:垂直性骨欠損,歯周基本治療,切開,剥離静岡県勤務 セントマリアフューチャークリニック連絡先:〒426‐0034 静岡県藤枝市駅前1‐8‐3‐201

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